2023.7.3
1980年4月22日生まれ。1996年に日本最高峰のクラス、エリートクラスへ特別昇格。今も破られていない最年少記録である16歳で全日本チャンピオンに。2002年から2年間は海外のチームへ移籍しワールドカップを転戦。その活躍からホンダ・レーシング(HRC)のMTBチームの設立当初からメンバーとして活動した。在籍中、2年連続のナショナルチャンピオンやアジアチャンピオンなどを獲得し、数多くの功績を残した。現在も現役にこだわり、2021年度発足の「TEAM A&F」では選手兼監督としてレース活動を続けながら、チーム運営やMTBの普及活動に努めている。
この人の記事一覧へマウンテンバイク(MTB)のプロフェッショナルがMTBにまつわる素朴な疑問に答えていく本コーナー。第38回は「マウンテンバイク(MTB)ってどんな自転車ですか?」という質問にプロライダーの井手川直樹氏が答えていきます。
名前の通り、山を走るためのスポーツバイクを「マウンテンバイク」といいます。山を走るために必要なブロックタイヤやサスペンション、変速ギアなどを搭載しています。
ホームセンターなどでは、マウンテンバイクのような見た目の比較的安価な自転車、いわゆる“ルック車”も販売されていますが、マウンテンバイクほど性能は高くありません。街中でマウンテンバイクのような自転車に乗りたい場合はルック車でもいいと思いますが、山の中を走るのであれば本格的なマウンテンバイクを選んだ方がよいでしょう。耐久性や安全性も高いと思います。あとから買い直すことを考えれば、最初から本格的なマウンテンバイクを購入した方がコストパフォーマンスも高いですね。
マウンテンバイクには、さまざまな種類があります。種目で分かれているとイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。
「クロスカントリー」といったアップダウンがある種目や環境を走るのであれば、エンデュランス系のマウンテンバイクが適しています。一方、「ダウンヒル」の場合は、下りに特化したマウンテンバイクが適しています。しかし今、国内はもちろん世界的に最も売れているマウンテンバイクは、上りにも下りにも適した「オールマウンテン」、今でいう「エンデューロバイク」です。前後にサスペンション、100~150mmのショートストロークがついていて、いろいろな用途に対応できます。
クロスカントリーやダウンヒルのレースに出るのであれば、その点に特化したバイクを購入するのもいいと思います。しかし一つの性能に特化するとその他の能力が省かれるため、複数の自転車が必要になりコストパフォーマンスが悪くなってしまいます。近年、自転車の価格も上がっていますし、置き場所も考えなければなりません。比較的万能なエンデューロバイクを購入するのがコストパフォーマンスとしてはいいと思います。
ただ、いきなりショップに行ってピンポイントで「これ」と決めるのは難しいでしょう。ショップに行く前に、気軽に山を走りたいのか、将来的にレースに出たいのかなど、希望や予算をまとめておいて店員さんに相談するのがおすすめです。適切なバイクを紹介してもらえると思います。
さまざまな走りに対応できるエンデューロバイクができた背景には、機材の向上があります。昔、マウンテンバイクには26インチタイヤしかありませんでした。その後、27.5や29インチが一時的に登場した流れを経て、今は29インチが主流になっています。
また、クロスカントリーバイクは、前後にサスペンションが付いていても軽量で、性能も上がっています。下りに特化したマウンテンバイクは、フロントが29インチ、リアが27.5インチで前後のホイールの大きさが違うマレットホイールが流行っています。
26インチタイヤしかない頃は、サスペンションのストロークやバイクの剛性で上り向きか下り向きを決めていました。しかし、ホイールサイズが変わったことでマウンテンバイクは大きく進化しました。ホイールが大きくなればなるほど障害物も乗り越えやすくなるため、ストロークを減らし軽量化することができました。結果的に、オールジャンルに対応したエンデューロバイクが生まれたのです。
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