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Mechanic Trouble Dictionary MTBメカトラブル辞典

MTB・メカトラブル辞典

【前編】

ハンドルバーグリップ
 ラバータイプのグリップは、夏場の暑さと手の汗によってゴムが溶けてしまうことがあります。ベタベタになったグリップは滑りやすくなるので、早めに交換しましょう。
ブレーキレバー、シフトレバー、ケーブル
 ブレーキの駆動方式が油圧の場合、ケーブルを木などに引っ掛けたりした際に、オイル内にエアー(気泡)が入ってしまう場合があります。エアーが入るとブレーキの利きが悪くなるので、エアー抜きなどメンテナンスが必要になります。またオイルは使用しているうちに汚れて劣化していくので、年に一回を目安に定期的な交換をするようにしましょう。
 ワイヤー引きのブレーキであれば、ワイヤーの錆びに要注意です。アウターケーブルの入口から水が浸入してワイヤーが錆びます。オイル(潤滑油)が錆を防いでいるのですが、オイルが切れると錆びてきます。雨ざらしなどバイクが濡れた状態であれば、一昼夜で錆は発生します。ワイヤーが錆びると、タイコと呼ばれるレバーに引っかかる根元から、ワイヤーが破断することがあります。対策としては、定期的な注油です。浸透性の高いオイルを使用します。
 変速もワイヤー式であれば、同様に錆びに注意しましょう。シフトレバーの内部でワイヤーが根元から切れると、簡単に取り出せない場合があり厄介です。
 また、錆びていなくても、ワイヤーが途中でほつれていたり部分的に切れている場合は、すぐに交換しましょう。ワイヤーも原則消耗品です。年に一回は交換するのが理想です。大きなメンテナンスは交換を前提にしておきましょう。
 なお、ワイヤーケーブルは新品時に「初期伸び」という緩みが必ず発生します。新品時には少し使用した後に増し締めや再調整をするようにしましょう。放置しておくとブレーキがうまく利かなかったり、変速不良を起こしたりします。
ハンドルバー・ステム
 転倒時に衝撃でずれてしまう場合があります。転倒した後は自転車の状態とセッティングをしっかりチェックしましょう。
固定部が異音の原因になる場合があります。ボルトの緩みがないよう、指定のトルクでしっかり締めておきましょう。また新車時には最初乗り込んでパーツが馴染むと、固定ボルトの増し締めが必要になる場合があります。新車時には1カ月を目安に一度初期点検を受けることをおすすめします。
ヘッドパーツ
 ステアリングの回転部ですが、セッティングが緩んで「ガタ」が発生することがあります。ヘッドパーツのガタつきはステアリングやブレーキに悪影響を与えます。ブレーキ時にカックンという感覚が出てくると、ヘッドパーツやホイールのガタが考えられます。前ブレーキをかけた状態で自転車を前後にゆすると、ガタつきの有無を確かめることができます。
 ここも新車時に緩みが発生しやすい部分です。初期点検をしっかり行いましょう。
 雨や泥など厳しいコンディションで走ると、水や汚れが侵入することがあり、錆や劣化の原因になります。内部のベアリングにダメージを受けると、上手く曲がれない、あるいは逆に真っ直ぐ走れないなどの症状が出てくる場合があります。定期的に分解チェックを行い、良いコンディションを保つようにしましょう。
フロントサスペンション
 本格的マウンテンバイクであれば、ショックアブソーバーにエアーを使用しているものが多く、乗り手の体重に合わせたエアーが入っているか定期的にチェックしましょう。内部に水分が侵入すると、性能が大きく悪化する可能性があります。動きが悪くなったと感じたり、オイル漏れのような症状があれば、専門店のメンテナンスを受けるようにしましょう。普段は小まめに清掃しておきましょう。
ブレーキ
 ブレーキシュー、ディスクブレーキであればブレーキパッドの摩耗に注意しましょう。ブレーキ時に普段とは異なる音がしたら要注意のサインです。雨天時やマッドコンディションで乗る機会が多い場合には交換頻度も早いです。
 油圧式ディスクブレーキの場合、ホイールを外した状態でブレーキレバーを握ると、ブレーキパッドが出てきたままになり、正常には戻らなくなってしまいます。ホイールを外した状態ではブレーキレバーを握らないように注意し、ホイールを外した状態で輸送などを行う場合は、ブレーキキャリパーにパッドスペーサーなどを噛ませておきましょう。
ディスクローター
 転倒したり岩にぶつけたりすると、ローターがゆがんでしまう場合があります。応急的に手で曲げ直して走り続けることはできますが、精度が高い部品なので原則交換が必要です。
ブレーキパッドほどではありませんが、長く使っているとディスクローターも削れて減ってくるので、その際は交換が必要です。

サイクルパラダイス ムーンテイル 佐藤孝博さん

 兵庫県宝塚市、阪急仁川駅すぐのスポーツ用自転車専門店で、オンロードもオフロードも自転車遊びのフィールドには事欠かない地域に立地。店主の佐藤孝博さんは、元は家電製品やクルマのデザイナーだったという異色の経歴。「スポーツ用自転車は買っただけでは完成形でない」と、販売のみならず走行会や勉強会なども催し、お客さんが走るスタイルを一緒に作っていくのが信条だ。