MTBメカトラブル辞典後編 – ENJOY SPORTS BICYCLE

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MTBメカトラブル辞典

MTB・メカトラブル辞典

【後編】

ホイール: 　ホイールの振れに注意しましょう。ホイールはスポークの張力でその形を保っていますが、部分的な衝撃を受けてスポークのテンションのバランスが崩れると、ホイールが振れてきてしまいます。グレードや走り方にもよりますが、定期的に振れ取り調整をしましょう。スポークは枝の巻き込みも要注意です。
　ホイールの振れ同様にハブの「ガタ」のチェックもしましょう。タイヤを掴んで横方向へ振ると、「ガタ」のチェックができます。ハブ構造がカップ＆コーンの場合は調整で済みますが、工業用ベアリングの場合はベアリングの交換となります。
　オフロードを走った後は洗浄機を使う場合もありますが、回転部分（軸）には直接水を当てないように注意しましょう。内部のグリスを溶かしてしまうとベアリングに悪影響を与えてしまいます。悪条件で走行することが多いマウンテンバイクでは、回転部分の分解洗浄やグリスアップの頻度は、オンロードバイクよりも高くなります。
　また、ホイールを固定するクイックリリースの緩みに注意しましょう。緩むと、ブレーキに影響したり時として脱輪してしまうこともあります。組立ての際には、必ずクイックリリースが正常な状態で締め付けられているかの確認が必要です。
リアスプロケット: 　ギヤが摩耗すると、チェーンがギヤの歯を乗り越える、いわゆる歯飛びが起きるようになります。好きなギヤを多用すると、そのギヤだけが早く減ってしまう場合があります。また山などを走ると砂や泥が付きやすく、オンロードのみを走るよりもギヤなどドライブトレインの摩耗は激しくなります。
　また、何かの強い力が加わってギヤが曲がってしまうと、変速不良につながりやすいです。ほかにはチェーン落ち。チェーンがもしギヤの内側に落ちると、噛みこんでしまい外すのが大変です。
リアディレーラー: 　ディレーラー本体というより、フレームとディレーラーの取付け部分（ディレーラーハンガー）の破損が多いトラブルです。転倒した際にディレーラーハンガーが曲がってしまったり、上りの変速ミスで大きな力が掛かってしまい破損することもあります。ハンガーが曲がると変速不良を起こしますし、そのまま乗っているとディレーラーがホイールに巻き込まれて、全体が折れてしまうこともあります。自転車のアキレス腱ともいえる部分で、破損してしまうとお手上げなので、予備のハンガーを持って走る人もいます。
　初心者にありがちなのが、自転車を倒した際にハンガーを曲げてしまうトラブルです。それは、変速不良やチェーンの脱落に繋がります。初心者と中上級者との違いは、自転車の扱いです。自転車は丁寧に扱いましょう。
　このほかにディレーラーの小さな歯車（プーリー）部分に草などを巻き込んでしまうことがあります。オフロードを走った際は十分にチェックしておきましょう。
　変速性能はメンテナンス直後から徐々に低下していくので、定期的な調整が必須です。
タイヤ: 　チューブ使用のタイヤの場合、パンクで多いのは圧倒的にリム打ちパンク（段差などで内側のチューブが押しつぶされて穴が空く）です。ライド時は替えチューブかパンク修理キット、タイヤレバー、携帯空気入れは必ず携帯しましょう。
　またサイドカットと呼ばれる、タイヤの接地しない部分に傷が入ってチューブなどが出てきてしまうトラブルがあります。この場合、タイヤの内部に貼って穴をふさぐ専用のパッチがあります。
　タイヤが摩耗すると、パンクしやすくなり、またタイヤ本来の性能が発揮できなくなります。ブロック部分が減ってきたり亀裂が発生したり、鋭利な岩などを踏んで大きな損傷を受けた場合は、早めにタイヤ交換をしましょう。
　チューブレスタイヤの場合は、内部に充填されたシーラント剤の定期的な補充、交換が必要です。
　トレイルを走行している際に、自転車のコントロールに不安感を覚える場合があります。その場合、空気圧が高すぎる場合があります。MTBの場合には、空気圧はロードやクロスバイクよりもグッと低い空気圧となります。適正な空気圧で走ることで、快適に走ることができるようになります。基準の空気圧はタイヤサイドに書かれていますが、体重や走り方に合わせて調節しましょう。

サイクルパラダイスムーンテイル　佐藤孝博さん

　兵庫県宝塚市、阪急仁川駅すぐのスポーツ用自転車専門店で、オンロードもオフロードも自転車遊びのフィールドには事欠かない地域に立地。店主の佐藤孝博さんは、元は家電製品やクルマのデザイナーだったという異色の経歴。「スポーツ用自転車は買っただけでは完成形でない」と、販売のみならず走行会や勉強会なども催し、お客さんが走るスタイルを一緒に作っていくのが信条だ。