TOP HOW TO マウンテンバイクの始め方マウンテンバイクの車種と選び方
マウンテンバイクの始め方<3>

How to ride and enjoy マウンテンバイクの始め方

マウンテンバイクの車種と選び方
マウンテンバイクの始め方<3>

 マウンテンバイク(MTB)は、主にオフロードでの走行を目的とした自転車です。頑丈なフレーム、太いタイヤ、サスペンションシステム(地面からの衝撃を吸収してくれる装置)を備え、険しい道や不整地での走行に適しています。そんなMTBには、さらに「乗り方」に応じて様々な種類があり、車種を選ぶ上でいくつかの重要なポイントがあります。どのような遊び方をするかをイメージしながら、最初の一台を選びましょう。

この記事の内容

MTBに共通する特徴

 まずMTBの全機材に共通する特徴を紹介します。

①タイヤ: 幅が広く、トレッドパターンを深くすることで、山道でのグリップ力を向上させている

②サスペンション: 荒れた道や岩、木の根などからの衝撃を吸収するサスペンションを搭載。フロントのみ、もしくは前後に搭載。搭載していない車種もある

フロントサスペンション
リアサスペンション

③フレーム: 軽量で丈夫な素材(主にアルミニウムやカーボンなど)を使用

④変速ギア: 大きなギアを搭載しており、急な坂道やテクニカルなトレイルでの走行がしやすい

MTBの車種

 これらの特徴が、MTBのジャンル(走り方)によって異なってきます。まずは自分がどんなスタイルでMTBを楽しみたいのか思い描いてみましょう。

•クロスカントリー(XC): 軽量で登りに強いモデル。レースや長距離走行に適している
•トレイルバイク: 性能のバランスが良く、様々な地形に対応できるモデル。初心者にもおすすめ
•オールマウンテン: しっかりとしたサスペンションがあり、急な下りやテクニカルなトレイルに強い
•ダウンヒル(DH): 高度なサスペンションと耐久性を備えたモデル。急な坂や障害物を越える機能に特化している
•ダートジャンプ:人工的に作られたジャンプ台やパンプトラックで飛んだり、技をメイクしたりする
•e-MTB: ここ数年で浸透した電動アシストモーターを搭載したMTB。高価格帯のモデルが多いが、上りも楽しめる等行動範囲を一気に広げてくれる注目のジャンル

サスペンションの種類

 ジャンルをイメージした上で機材選びのポイントとなるのがサスペンションです。サスペンションの有無は、自分のライディングスタイルや走行する場所を考慮して選ぶことが重要です。

 軽量な装備で上りや長距離走行などが重要な場合は「フルリジッド」や「ハードテイル」が適していますが、オフロード走行や衝撃吸収を重視するなら「フルサスペンション」が効果的です。それぞれの特徴を理解し、乗りたいスタイルに合った選択をしましょう。悩んだ時はメーカーの試乗会やMTBパークのレンタルバイクを利用してみるのもお勧めです。

•フルリジッド: サスペンションがなく、軽量かつシンプル。デコボコが少ない林道や街乗りに適している。ロングツーリングにも使用される。

画像提供:FUJI

•ハードテイル: 前にだけサスペンションがあり、後ろはリジッド。軽量で、登りに強い。ダートジャンプにも向いている

画像提供:ホダカ

•フルサスペンション: 前後にサスペンションを搭載。衝撃吸収が優れており、トレイルライディングやダウンヒルにも多く採用されている

画像提供:メリダジャパン

 そしてもう一つ、機材選びで重要なのが自分の身長や体型に合ったフレームサイズを選ぶことです。正しいサイズは乗り心地や操作性に影響します。車輪(ホイール)のサイズのラインナップも26インチ、27.5インチ、29インチの3種類があります。ホイールサイズによる違い、特徴、現在のトレンドなどについては次回に詳しく解説します。

イメージから始まるMTBライディング

 目的とモデルを理解したら、あとは購入するための予算です。価格帯は幅広く、初心者向けのモデルから高性能なモデルまで様々です。数万円から100万円を超えるようなモデルまで各社から多くのMTBがリリースされていますので、必要なスペックと予算のバランスを見ながら選びましょう。

 そのためにも、事前にインターネットなどを利用して人気のブランドやモデルをリサーチし、遊びたいジャンル、気に入ったバイクなどをイメージしておきましょう。どこでどんな1日を過ごすか、想像するところからMTBライディングはもう始まっています。

 可能であれば、試乗して自分に合うモデルを見つけることも効果的です。ショップの店頭でも乗り心地やフィット感を確かめることができますが、悩んだ時はメーカーの試乗会に積極的に参加してみたり、MTBパークのレンタルバイクを利用してみるのもお勧めです。

 最後に、MTBはカッコイイ乗り物です。フレームやパーツのカラーや見た目も大切です。直感で「これだ!」と思える好みの一台が見つかったなら、それも出逢いでしょう。

文・写真: 中川裕之(なかがわ・ひろゆき)

株式会社SLm代表取締役。主にMTBを撮影する写真家。国内に限らず、世界選手権大会、ワールドカップなど数々のMTBレースを撮影。日本全国を転戦するMTBレース「DOWNHILL SERIES」を主催。全日本マウンテンバイク選手権大会(ダウンヒル)の大会オーガナイザーを務める。

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