TOP HOW TO マウンテンバイクの始め方マウンテンバイカーはフィールドまでどう移動する?~MTBの運搬方法~
マウンテンバイクの始め方<7>

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マウンテンバイカーはフィールドまでどう移動する?~MTBの運搬方法~
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 マウンテンバイク(MTB)のフィールドは、文字通り“山”にあります。ロードバイクならフィールドまで自走や輪行という移動方法は一般的ですが、MTBは幅の大きいハンドルや重さがネックとなって、そう簡単にはいかないもの。マウンテンバイカーはどのようにして目的地まで移動しているのかを聞いてみました。

この記事の内容

色々便利!ワンボックスカー

 マウンテンバイク(MTB)に乗って遊ぶとなった場合、フィールドへの運搬方法として最も理想的なのは自動車の車内に積載する方法です。キャリアなどを使って車外に積載するのに対し、風雨や飛び石などからバイクを守れる上に移動中に立ち寄った先でイタズラや盗難に遭うリスクも低くなるためです。車種に関わらず、可能であればまずは車内に積載する方法を考えましょう。

 MTBのヘビーユーザーやレースを転戦するような人が移動に使う車種として最も選ばれているのがハイエースやキャラバンといったワンボックスカーです。近年はファミリーカーやキャンピングカーのベースとしても利用され、アクティブに遊びたい世代から多くの支持を集める車種となっています。実際に著者も長年にわたって4ナンバーのハイエースを所有していますが、なぜこの手の車種がマウンテンバイカーから圧倒的な支持を集めているのか、その理由をいくつかご紹介しておきます。

1. 複数のMTBをそのまま車内に積める

 タイヤを外したり、ハンドルを曲げたりしなくても4台は余裕で積載できます。さらに、その状態でも手荷物と大人4人が普通に乗車できます。これは商用バンならではの圧倒的な積載量のおかげです。

2. いつでも、どこでも車中泊できる

 その荷室の広さは完全にフラットな状態の寝台になります。週末に出かけたフィールドの近くにオートキャンプ場等があれば、ゆっくり過ごすスペースとしても活用できます。

3. MTBをそのまま車内に保管できる

 自宅に持ち込まず、そのまま車内にMTBを保管しているユーザーも多いです。

 ハイエースは盗難される車両の上位にリストされますが、その分車両そのものの盗難対策をしっかり講じておけば、結果的に中に積載しているMTBも守られることになります。

4. 高速道路の休日割引が適用される

 4ナンバー登録であれば3や5ナンバーの乗用車と同様に高速道路の利用における休日割引が適用されます。

 デメリットとしては、構造上そもそも貨物車として設計されているので乗り心地が悪いことや車検が毎年ある、などでしょうか。

ホイールを外せば普通乗用車でも

 以上のような理由で、現状、日本国内のマウンテンバイカーにとってはワンボックス貨物車移動や保管に最適と考えられていますが、決してそのような車がなければ楽しめないわけではありません。普通乗用車はもちろんのこと、軽自動車であったとしてもホイールを外したり多少の工夫をすれば多くの場合、車内に積載できてしまいます。

 まずは現状の環境としてマイカーを持っているなら、車内に積載する方法を検討してください。いくつかの車種に積載する経験を積めば、レンタカーを利用する場合でも車種選びに失敗することはなくなるでしょう。

対策すればキャリアも◎

 車内に積むスペースがない場合は車外へ積載することになります。この積み方のデメリットはMTBが外に露出してしまうので風雨にさらされる事、停車時にイタズラや盗難に遭うリスクがある事、最悪のケースとしてはMTBを車から落としてしまう可能性があることなどが挙げられます。

 逆にこの点をしっかり考慮すれば、車外に積載するのも決して悪い選択ではありません。屋根の上に積むタイプ、ハッチバックのリアドアに積むタイプ、ヒッチメンバーに装着するタイプなど、多くのキャリアが販売されています。予算と使用頻度、載せたい台数、所有している車両にあわせて決めましょう。車外に積む場合、取り付け部のチェック、増し締めは必ず行うようにします。高速道路を利用する場合は最初のパーキングで各部のチェックをする習慣をつけましょう。

ショップのイベントに参加する

 移動手段に自動車を使う場合の裏技として、誰かの車に乗せてもらう、というのもよくあるパターンです。「MTBに乗っている友人はいない」という場合でも、ショップ主催のツーリングや走行会に参加するとショップ所有の車に乗せてもらえるかもしれません。

 多くのMTB販売店は売っておしまいではなく、定期的にどこかに走りに行くイベントを開催しているものです。そこで趣味の合う人と出会ったり、一緒に走りに行くような人間関係を築けるのはショップに出入りするメリットの一つです。良いお店との出会いはあなたのMTBライフを豊かにしてくれるかもしれません。

公共交通機関

 このように、MTBを運搬する際、多くの場面で自動車を使うのが一般的ですが、公共の交通機関を利用する「輪行」という方法もあります。MTBはロードバイク等と比べて重量があり、輪行には体力勝負の部分もありますが、動線を工夫して持ち運ぶ時間を極力減らすなどの工夫をすれば不可能ではありません。

 MTBのみならず自転車を公共交通機関に乗せるには多くの場合、輪行袋が必要になります。MTBの場合、輪行のためには車輪を外す必要がありますので、必要な工具、干渉する部分の収め方など、事前に自宅で練習しておきましょう。また、バスと電車、新幹線では輪行のルールや確保できるスペースが異なる場合がありますので、事前にルールを確認しておくと安心です。

 もちろん飛行機を利用することも可能です。その場合、利用する航空会社の預け入れ手荷物の規定を事前によく調べるようにしましょう。

 このようにMTBの運搬には様々な方法があります。遊びたいフィールドにどうやって行くのか、それを考えることもMTBの楽しみ方の一つです。MTB 購入時にショップに相談するのも良いアイデアです。専門のショップは遊びのHow toも豊富なはずですよ!

文: 中川裕之(なかがわ・ひろゆき)

株式会社SLm代表取締役。主にMTBを撮影する写真家。国内に限らず、世界選手権大会、ワールドカップなど数々のMTBレースを撮影。日本全国を転戦するMTBレース「DOWNHILL SERIES」を主催。全日本マウンテンバイク選手権大会(ダウンヒル)の大会オーガナイザーを務める。

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