TOP HOW TO 自転車マナー 道路を走るコツ <13>ブレーキングのポイント

Cycling Manner 自転車マナー

道路を走るコツ
<13>ブレーキングのポイント

 前回のコーナリングの話の中に、ブレーキングの話題が出てきました。今回はブレーキのかけ方についてお話しましょう。

 自転車はシンプルな乗り物です。クルマはブレーキペダルをドンと踏めば4輪全てにブレーキがかかり、しかも今は電子制御で滑らないように機械が勝手に「上手いブレーキング」をしてくれます。しかし自転車は右のレバーが前輪、左のレバーが後輪(逆になっている場合あり)のブレーキを担当しています。前後の車輪で独立しているわけです。さらにクルマのようにABSは装備していないので、ブレーキレバーを強く握るとタイヤがロックしてしまいます。

 とはいえ、みなさんは日々何気なくブレーキをかけているはず。危険なのは、クルマや人が飛び出してきたときの急ブレーキです。まず注意してほしいのは、いつでもブレーキをかけられるように、ブレーキレバーに常に指をかけておくこと。そして、必ず前後のブレーキを併用すること。前ブレーキだけを強くかけると、前輪がロックして前転してしまうこともあるので注意してください。

 最も大切なのは、急に強くかけないこと。ブレーキを急に強くかけるとタイヤが滑ってしまいます。特に、タイヤが細いうえに高性能なブレーキを装備しているクロスバイクやロードバイクは注意です。レバーをジワッと握るイメージでブレーキをかけてください。

 ちなみに、コーナリング中はできるだけブレーキをかけないこと。コーナリング時はタイヤの性能を「曲がるため」に使っており、「止まるため」に使える余地が残されておらず、ブレーキをかけると滑ってしまいやすいためです。

 とはいえ、人が飛び出してきたときなど、とっさのときに「ブレーキレバーはジワッと握るイメージで…」とか「今はコーナリング中だからブレーキは…」なんて考えているヒマはありませんね。そんなときに役立つのは、やっぱり経験です。安全な場所で、自分の自転車で急ブレーキをかけてみて下さい。どのくらいの距離で止まれるものなのか、急ブレーキをかけるとどんな感覚になるのかを経験しておいて下さい。そうすれば、とっさのときでも冷静に安全なブレーキングができるようになるはずです。

文: 安井行生(やすい・ゆきお)

自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。

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