2019.4.3
島根県益田市が自転車協会と共催した「益田市インフルエンサー サイクリングツアー」が3月30、31日に開催されました。栗村修さん、団長安田さん、牧野ステテコさん、絹代さん、石井正則さんら5人の著名サイクリストが、インフルエンサーとして、益田市の名所、グルメを思う存分回り、その魅力を発信。Cyclist編集部の同行リポートをお届けします。
今回の企画は2017年に施行された「自転車活用推進法」を背景に、一般社団法人自転車協会の「Cycle Aid Japanプロジェクト」のモデル事業として「自転車によるまちづくり」を進める自治体として、益田市が選ばれた。同市は昨年、全日本ロードレース選手権が開催されたほか、東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技アイルランド代表のキャンプ地にも選ばれるほど自転車に力を入れ、山本浩章市長自ら熱心なサイクリストだ。今後、全国からサイクリストを誘致し、ツアーを行うことを想定したコースを2日間に渡って体験した。
益田市は飛行機を使うと東京からわずか1時間半。羽田空港を午前10時35分に出発した一行は12時には萩・石見空港に到着した。空港では早速出発式が行われ、益田市の山本浩章市長が「益田市は比較的交通量が少なく、100km走っても信号で一回も停まらない『100ゼロ』を自慢にしています。日本でも一級の水質の河川・高津川の水で育った、ワサビ、ゆず、ホンモロコなどのグルメも楽しんでいってください」と歓迎。また今ツアーを引率した自転車協会の山﨑一理事長も「益田市は協会のサイクルツーリズムのモデル事業の最初となる事業。インフルエンサーの皆さんには良いところや、改善したほうが良いところもどんどん発信していって欲しい」と期待した。
早速一行は、萩・石見空港の一室で着替え、サイクルステーション横のサイクルラックへ。5人のインフルエンサーは「CYCLE AID JAPAN」のオリジナルペインティングを施したNESTOのALTERNA DISCに乗り出発。空港からわずか5分、1回も停まらずに、約2km先のフレンチレストラン「Restaurant BONN-MAMAN NOBU」(レストラン・ボンヌママン・ノブ)へ。午後のサイクリングに向けてランチ補給した。
日本海を目の前に見ながら、地元野菜や旬の魚や鴨肉をふんだんに使ったコース料理を堪能。栗村さんは「まるでフランスで食べているかのよう」と優雅な時間を楽しんだ。
その後、雄大な日本海を右手に見ながら6km走ると、「山陰のモンサンミッシェル」とも呼ばれる「宮ケ島 衣毘須神社」へ。満潮時や高潮では砂の参道が海に沈むというが、この日の日本海はおだやか。5人は小さな島の上に立つ神社を参拝し、2日間の完走を祈願した。
ここでは、大勢の町民が集合して、記念撮影。地区の防災無線でインフルエンサーの来訪を告げたところ約30人の住民が集まり、団長安田さんも「こんなにお兄さん、お姉さんに集まっていただき、ありがたいことです」と笑いを取りながら、地区の年配の方々に感謝した。
のどかな小浜町を通り、信号のない内陸部に進むと、桜を見ながら高津川沿いの歩行者・自転車専用ロードを一列に進む。しばらく進むと清流高津川にかかる「飯田橋」へ。一見、ただの真っ赤な吊り橋だが、近づくと足元がすべてグレーチングで、川底が丸見え。恐る恐る自転車に乗って渡る。
地元の子供たちが度胸試しに夏は飛び込むという清流は川底の小石が見えるほど。橋の途中の“ある場所”に鍵で作ったハートマークを発見。カップルが2人で鍵をかけると縁が結ばれるという噂もある。ここで山本市長、牧野ステテコさんもハートマークで記念撮影した。
夕食は「日本一の居酒屋」と地元が誇る『田吾作』へ。イケスからそのまま調理されたイカ刺しや、大豆感たっぷりの自家製豆腐、この時期が旬の子持ちカレイなどを酒の肴に、日本酒「田吾作」を味わった。牧野ステテコさんは「うまいっ!!甘い!!飲みやすいー!危険なうまさ!みなさんぜひ行って欲しいっすー!」とPRした。
食後はそのまま「石見の夜神楽」を鑑賞。大蛇(おろち)という有名な演目で、須佐之男命(すさのおのみこと)がちょうちんを長く伸ばしたような大蛇と戦うダイナミックな動きを石井正則さんは趣味のカメラで撮影。全員が興奮冷めやらぬまま、4月にオープンするホテル「MASCOS」(マスコス)にチェックインした。
7階建の部屋には全室コンクリート製の土間があり、部屋にそのまま自転車が持ち込めるほか、壁にはハンガーもあり自転車をかけてベッドから眺められるのもうれしい。モダンな内装で1人1泊7800円~。2階には天然温泉の「益田温泉」があり、照明も落とし目で落ち着いてお湯を楽しめる。サイクリングで疲れた体を弱アルカリ性の温泉で癒やし次の日のサイクリングに備えた。
2日目は国定公園「匹見狭」(ひきみきょう)を目指し、匹見川沿いに上りながら川の幸、山の幸を楽しむ20km。匹見川沿いの国道488号は、信号がほとんどなく、川沿いに走りながらも勾配は2~4%程度で初心者でも十分に楽しめる。ベテランのミニベロ愛好者の石井正則さんは「僕みたいなミニベロ乗りでもとても走りやすい道ですね。風景も桜、透き通った川と飽きることありません」と話した。
最初のエイドとなった匹見下地区振興センターでは、地区住民が用意してくれた「高津川の鮎の塩焼き」、地元で捕れた食材の「猪鍋」「わさびの醤油漬け」でおなかを満たした。団長安田さんは鮎をペロリと食べたかと思えば「東の静岡、西の島根というほど、島根はワサビの名産地なんです。特に匹見はその昔、島根の90%を生産していました」と地元の方に聞いた話を、そのまま完全コピーして参加者にPRして笑わせていた。
後半は国道に別れを告げ、「匹見狭」まで表匹見狭と呼ばれる匹見川流域の全長4kmの渓谷をサイクリング。断崖絶壁が切り立つ屏風ヶ淵、さまざまな物語がある亀ヶ淵、小沙夜淵、など次々と現れる岩とエメラルドグリーンの水が生み出す絶景に5人は驚きっぱなしだった。
日本全国を走りサイクリング事情にも明るい絹代さんは「昨日走った日本海のイメージを変えるようなトロピカルな風情のある海。澄み切った水が流れ、神秘的な緑がかった水をたたえていたり、存在感のある巨大な岩水が流れるエリアがあったりと、匹見峡沿いは歓声をあげっぱなしでした」と振り返った。
最終地点の匹見狭にゴールした5人はバス移動し、昼食会場の美都温泉の食事処「ゆずのき」へ。美都で養殖される幻の魚「ホンモロコ」の天ぷら、煮物、お吸い物に山菜ごはんと、地元の幸に舌鼓を打った。
そのまま一行は、町内の農園へ「いちご狩り体験」に出かけ、30分間の食べ放題でデザートを満喫。「紅ほっぺ」と「よつ星」を食べ比べし、おいしいイチゴを選ぶコツを見つけたよう。牧野ステテコさんも「おなかいっぱいなのに、いくらでも食べられそうで危険です~」と最後まで食べ続け、ツアーを締めくくった。
今回のツアーは自然豊かな益田のサイクリング環境はもちろん、山本市長を中心とした自治体、そして自転車協会の強力なバックアップ、さらには熱心な地元サイクリストと、ハード、ソフトと両面で成長しつつある「自転車を通したまちづくり」を感じた。「誘客はもちろん、地元にもサイクリングが根付くよう協会としてはこういった動きを全国に広げていきたい」と自転車協会の山﨑理事長は今後の抱負を話してツアーを締めくくった。
(cyclistより転載)
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