2020.10.30
東日本大震災被災地の復興支援を目的とした自転車イベント「CYCLE AID JAPAN」(サイクルエイドジャパン)が10月10日と11日の2日間、福島県で開催された。10月10日に郡山市をスタート・ゴール地として開催されたサイクリングイベント「CYCLE AID JAPAN 2020 in 郡山 ツール・ド・猪苗代湖 東北大会」の模様をリポートする。(Photo & Text by 大星直輝)
サイクルエイドジャパンは2012年に始まったサイクリングイベントで、今大会で開催は8回目となる。東日本の復興支援につながるサイクルチャリティとして、参加者全員の総走行距離を1km=10円に換算して寄付も行えるのが特徴のイベントとなっている。
今回は新型コロナウイルス感染状況を鑑み、例年3コースだったルートが、85kmの1コースのみとなった。また、参加資格も東北6県の中学生以上のみとなり、参加者500人までと規模を縮小して行われた。
昨年の大会は、台風19号の影響により開催中止となってしまい、今年はそのリベンジ大会でもある。しかし、開催1週間前に今年も台風が発生。みるみる天気予報は悪化していき、直前まで大会開催が危ぶまれた。前日になっても、開催可否が検討中で発表されず、ようやくホームページに開催決定の案内が載せられたのが、なんと当日の朝という、綱渡りのような開催となった。
スタート地点では、台風の影響を受け強めの雨が降り続いたが、幸い風はそれほど強くはなかった。集まった約500人の参加者は、それぞれ雨対策をしてスタートを切った。
磐梯熱海スポーツパークをスタート・ゴールとしたコースは、猪苗代湖を一周する(通称:イナイチ)、比較的アップダウンのない、初心者でも走りやすい85kmのコースだ。
スタート後からしばらくすると、雨は徐々に強くなり、風も次第に出てきた。猪苗代湖は標高514メートルと、それほど標高が高いわけではないが、磐梯山からの吹き下ろしの影響もあるためか、非常に寒い1日となった。
エイドステーションでも、止まっているとすぐに体が冷えてしまうので、あまり休みすぎずコンスタントに走り続ける参加者が多かったように思う。雄大な磐梯山は、雨雲の中にすっかり姿を隠し、残念ながらその姿を望むことはできなかったが、猪苗代湖は身近に感じて走ることができた。
福島県から参加の遠藤優介さん(31歳)は「雨でも気にしない。久しぶりに地元を走るので楽しい。悪天候がより大自然を感じさせてくれる」と天候をポジティブに捉え、笑顔でライドを楽しんでいた。午後を過ぎると台風の影響も弱まり、小雨から雨の止む時間も出てきた。幸い大きな事故もなく、無事に参加者はゴールまで走り抜けた。
ライドイベントには楽しみの一つにエイドステーションで提供される食べ物もある。85kmのコースには、1カ所の給水所と5カ所のエイドステーションがあり、地元の特産物も含めた食べ物が、参加者に提供された。
レイクサイド観光では、会津のご当地キャラの形をした「あかべぇサブレー」、会津レクリエーション公園では、日乃出屋の「天ぷらまんじゅう」、少年湖畔の村では、湖南町名産のヒメノモチの新米でついた「きなこもち」、最終エイドの上戸では、郡山市のソウルフード「クリームボックス」と「酪農カフェオレ」、などの食べ物が参加者を楽しませた。
福島県内から、トライアスロン仲間に誘われて初参加したという吉田夫妻は、「湖南のおもちがコシがあって美味しかった。郡山のクリームボックスも食べられたのでうれしかった」と笑顔を見せていた。
大会事務局の星さんによると、今年はやはりコロナの影響で開催にはとても気を使ったという。星さんは「地元ボランティアの方々の中にも高齢者の方が多く、検温や除菌はもちろん、なるべく密にならないように配慮した。地元の温かい蕎麦なども提供したかったが、エイドステーションで調理・提供すると、どうしても時間がかかってしまい密になってしまう恐れがでてくる。そのため、すぐに手渡しができるものを提供することとした。今回は東北6県の参加者のみであったが、来年には多くの皆さんに参加していただき、ますます大会を盛り上げていきたい」と語ってくれた。
取材をしてみて、この大会はサポートがしっかりしていると感じた。ここ数年、猪苗代湖を一周する「イナイチ」ライドが盛り上がりつつあると言われており、初めて「イナイチ」を達成するのにもちょうどいいと思う。今後ますます多くの方にコースの魅力が伝わり、東北の魅力あるコースの一つとして発展していって欲しい。
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