2022.1.7
自転車協会が主催するMTBの試乗会「SBAAオフロードバイクディーラーサミット2021-22」中部会場イベントが、2021年12月7、8日に静岡県伊豆の国市で行われた。最新のMTBやグラベルバイクに試乗し、オフロードバイクの乗車スキルを体得し、最新トレンドや販売知識も得られるイベントとなった。2022年1月19日には関西会場として、大阪府河内長野市・プラザ阪下で同様のイベントが開催予定だ。(Photo & Text by Koichiro Nakamura & Masahiro Osawa)
会場となったのは、静岡県伊豆の国市の神島河川敷・中島公園に設けられた狩野川特設MTBコース。伊豆半島を北上する美しい狩野川の河川敷に作られた特設フィールドには、数々の出展ブランドブース、MTB向けとグラベル向けに2つ設置された試乗コース、そして木製のパンプトラック「コジパンプ」が設置された。
会場では、各ブランドによる最新モデルの試乗、プロライダーを講師に迎えたライディングスクール、さまざまな技術知識や実技を学べる座学が行われた。MTBはトレンドサイクルの移り変わりが早い。最新の走り方やパーツの規格、整備の技術といった情報をここでキャッチアップしていくのだ。
試乗車として並んだのは、参加メーカー最新のMTBとグラベルバイク群。数多くの試乗車の中から参加者は、これだという1台を選んで試乗する。
試乗コースはMTB用とグラベル用の2つに分かれていた。河川敷での開催のため、コースは基本的にフラットだったが、それでもMTBでは左右に細かく振ったコースレイアウト、グラベルは脚を使うようなストレートと急な上りの組み合わせ。MTBとグラベルそれぞれの特性を活かした走りが味わえるコースとなっていた。以下、参加したバイクブランドと、今回のおすすめの一台を紹介していこう。
プロライダーを講師に招いたライディングスクールは、1日に3回行われた。講師は井手川直樹氏と小笠原崇裕氏のプロライダー2人を中心とした4名。走ることの基本技術を学び、それを実際のお客様に伝えていく方法も学んでいく。プロライダーたちがこれまで培ってきた、初級者にも伝わりやすい「走行技術の伝え方」というものがあるのだ。
まずは平地でパイロンを使った練習を行った。「止まる」「曲がる」「止まる」の基本を意識した動きである。安定したコーナリングが行えるよう肘を意識することや、ブレーキングでの前後ブレーキの配分などを学んでいった。
左右の動きを一通り学んだら、次にパンプトラックを使ったパンピングの技術を学んでいった。パンピングは膝と上半身の動きを連動させ、コブを走り抜けるときに加速していくというもの。ペダルを漕がずに加速できるこの技術は、パンプトラックで学びやすいが、実際のトレイルの中でも使える。ペダルを漕ぐとしたに当たってしまうような木の根っこや段差の場面で使える。これら基礎技術を積み重ねることで、実際の走りのレベルは上がっていくのだ。
会場には2種類のパンプが置かれていた。1つはまっすぐのもの、もう1つはU字型に周回する、コーナーがついたものだ。このU字型のパンプは「コジパンプ」と呼ばれ、「まちさが里山サイクリングの会」の協力によるものだ。
コジパンプは、MTB好きの大工、小島正治氏が手がけたもので、分解できるモジュラー式の木製パンプトラックとなっている。曲面の角度はホイールの小さなキックバイクでもこすらないよう綿密に考えられている。さらに表面には木の粉をまぶしたコーティング剤を塗布し、多少の雨でも滑りにくいように作られ、これまで年数をかけて改良を重ねてきたという。MTBで走る楽しさを、まずはこのパンプを走ってもらうことから伝えていこうという気持ちで設置したという。
座学講習は4つの講座が実施。「流行中のいま必要な学習 日本で成功するためのe-BIKEビジネス」では、e-BIKE事情に詳しいジャーナリストの難波賢二氏が、e-BIKEのユーザー層の特徴、ターゲットの大きさなどをわかりやすく解説。そのうえで、e-BIKEはグループアクティビティであり、1人に売れれば複数人を相手にできるなど、販売上のメリットも示し、スポーツ用自転車販売におけるe-BIKEのポテンシャルの高さを説いた。
「ディスクブレーキ整備技術講習」では、シマノ担当者が油圧ディスクブレーキの構造や使用上の注意点ほか、ブリーディングについて解説。販売店においてはブリーディングは今や欠かせない知識となっており、ブリーディングのかなめとなる「エア抜き」のコツについて重点的に説明してくれた。
「オフロードバイク販売スキルとレース&イベントの活用」では、ホダカの野中秀樹氏が多様化するオフロードバイクの種類についておさらいをしつつ、走行場所の問題についても取り上げた。山中を走る場合、そこが私有地であったり、ハイカーから危険視されたりと、オフロードバイクの走行が問題視されてしまうことがあるが、オフロードバイクが走行して問題ない場所が多数存在することを説明。Enjoy Sports Bicycleでも紹介している専用パーク、専用フィールドのような情報を得て、楽しむべきだとする。また、オフロードバイクのイベントに顧客と積極的に参加することで、オフロードバイク用品における新たな販売のチャンスも出てくることを強調した。
ケルヒャージャパンによる「ケルヒャー洗車体験講習」では、ケルヒャー製高圧洗浄機の特徴から、オフロードバイクに高圧洗浄機を用いる際の注意点の説明がなされ、洗車体験も行われた。
最後に参加者の感想も紹介したい。参加者は試乗や座学講習を通じて、接客につなげる知識を多数獲得できたようだ。
いろいろ試乗できて、どれも良かったのですが、中でも一番気に入ったのはこのBesvのフルサスモデル「TRS2 AM」です。重心を低めに抑えてあってコーナーでも安定して切り返しがしやすい。またアシストが利くまでのタイム差がとても少なく、それが自分には乗りやすかったです。元々自分はマウンテンバイクがすごく好きなので、こうした試乗会で乗りたかったのもあります。できるだけ多くの台数に乗っておくことで、自分が乗った中でここが良かった、こういう特徴があったという実感をお客様にお伝えできます。それがお客様にとっても一番、安心して信頼いただけることだと思っています。
今回一番気に入ったのは、ビアンキの「NITRON」です。シンプルで取り回しも軽く、それであってもバランスが取れていてスピードももちろん出せて、誰でも乗れるので、一番好みです。特に最近MTBでは進化がすごく速いため、新しい情報を得たいと思って今回は参加しました。
今回の試乗会でいろいろと乗ってみましたが、全体的に乗りやすいモデルが集まったという印象でした。中でも気に入ったのは、BMCの「Twostroke 01 FOUR」です。MTBレースでBMCが勝っている場面が結構あって気になっていました。試乗してみたら、やはりいいバイクでした。とても走りやすく、操作もしやすいので気に入りました。素材がカーボンで走りそのものも、前に出ていく感じが良かったです。座学もとても役に立ちました。グラベルバイクやシクロクロスバイクの違いと特徴を学ぶことができました。今はまだお客さんからオフロードバイクを求められることは多くないのですが、これからの販売に向けてはとても勉強になりました。
気に入ったのはネストの「X-VALLEY」です。e-BIKEは急な坂でも力強くアシストしてくれるので力がなくても進みやすいですね。エコモードだと100kmほど走れるので、長時間のロングライドでも乗りやすいのではないかと思います。シマノのユニット、パーツ群も使っているので、全体の性能もよく、信頼性もあり、長期にわたって安心して使えそうですね。
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