2018.6.29
岐阜市から長良川沿いの国道156号線を30分ほど郊外に出ると、アクタミサイクルセンターにたどり着く。一見こぢんまりとした店構えだが、岐阜では歴史のあるスポーツ用自転車のショップだ。お店のクラブチームのジャージはタキシードを模した、蝶ネクタイ姿。レースイベントで一度見たら忘れない、ユニークなデザインだ。
アクタミ(芥見)はこの地域の地名だそう。チーム名は「Act army」と英語を当てた。「地元の宣伝をしたい」と近くの下呂の酒屋さんの名前が「スポンサー」として入る。
店主の林富佐夫さんは昭和21年生まれ。家業が自転車店だったこともあり、学校卒業後は大阪の完成車メーカーに勤めた。週末には会社の仲間と大阪市内から京都や奈良まで、まだ道路もあまり良くない状態のなか走っていたという。
その後、20代後半で独立。現在の地に自分の店を構えた。一般車やジュニアスポーツ車が中心だったが、昭和60年ごろに大型店が安価な一般車を取り扱うようになった際に、「得意な分野で対抗しよう」と競技用の本格的スポーツ用自転車を多く扱うようになったという。
競輪場が比較的近く、市内で他にスポーツ用自転車を専門に扱うショップがなかったことから、競輪選手や高校の競技部員がまず集まるようになり、平成の時代になって次第にロードの割合が増えていったという。
こだわっているのは丁寧な作業。「目に見えないところをきちんとやっていくことがお洒落」と、普通なら分からないような部分にも手を抜かない。
メーカーから送られてきた完成車も、ワイヤーを一度外して長さを整えるなど、お客に渡す前に一手間も二手間もかけている。メーカー出荷時にパーツはほぼ組み付けられた状態で送られるが、輸送の箱詰めなどの都合上、“完成車”としてはベストではない状態なのだという。
自転車が飛ぶように売れる大型店では、ほぼそのまま出してしまっている場合もあるそうだが、林さんは「綺麗に作られた部品でも、組み付け方次第で汚く見える。きちんと組まれていないと、部品メーカーや自転車メーカーが一生懸命作った自転車の性能が発揮できない」と、手間をかけて自転車をベストな状態にしてから手渡すという。
「乗らないとお客さんとお話ができないので乗っています」と出てきた現在の愛車は、最新のカーボンロードバイク。試乗車も兼ねているというが、意外な1台だ。
「ユーザーさんが少しでも来て良かったなと思ってもらえるように努力しています」という林さん。決して交通の便が良い立地ではないが、大型店では直せないような面倒な修理も真摯に引き受け、広い岐阜市内の反対側からわざわざ駆けつけるお客もいるという。スポーツ用自転車だけでなく、一般車の「駆け込み寺」のようにもなっている。
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