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熊本・宇土半島から上天草へ3つの島をアップダウン周遊ライド

 阿蘇と並んで熊本を代表する観光地、天草。その玄関口の宇土半島から上天草の島を巡るコースを紹介しよう。阿蘇小国という山の住人の筆者が年に3回は訪れる大好きな天草。地元だと逆に気付かない魅力というのもある。海というだけでテンションが上がりがちだ。
振り返ると有明海と雲仙普賢岳の壮大な景色が広がる
オススメポイント距離・獲得標高ともに十分。3つの島を渡り冒険感満載のコース
レベル★★★(上級者向け)
距離99.4km
獲得標高1,731m
始発・終着地始発・JR 松橋駅 / 終着地・JR 三角駅
立ち寄りグルメスパ・タラソ天草
立ち寄りスポット海のピラミッド

南国ムードあふれる国道266号線

シュロの木も道路沿いに生えて南国の気分を味わえる国道266号線
出発地はJR鹿児島本線の松橋駅。なぜ「まつはし」ではなく「まつばせ」と読むのかと言うのはその昔、松葉の瀬戸と呼ばれていたものが、松馳、さらに川に橋がかかり松橋になったとか。さあ、南国ムードあふれる国道266号線を走り出そう。 国道266号線は比較的交通量が多いので、走行に注意したい。市街地を抜けると海岸線の気持ちの良い道に出る。スタートからわずか5kmで道の駅 不知火(しらぬい)に到着。名産のデコポン系の商品も多く、補給食を入手するのにもいい。まだ体も温まっていないようだったら、そのまま進もう。
2016年、モダンな建物に変わった新松橋駅
バイクラックも完備、物産館の他、レストラン、温泉施設と充実
2kmほどで少し国道から外れ松合白壁土蔵地区へと入る。かつて漁業と醸造、交易で栄えた名残を感じさせる場所だ。
毎月第3日曜には朝市が開催されてにぎわうという

昔ながらの製法で作られたヤマア味噌・醤油

そして1km走ると右手にヤマア味噌・醤油・酢の醸造元、松合食品の白壁の看板が見える。松合食品は有機農業、自然農法で作られた熊本県産の材料を使っている。昔ながらの製法で製造された醤油、味噌の味は絶品だ。

■松合食品

住所:熊本県宇城市不知火町松合1999 営業時間:8:00-19:00 定休日:年中無休 電話:0964-42-2213
直売所までの上りは激坂!平地に飽きたらチャレンジしたい
雰囲気の良い入り江も多く、ついつい寄り道してしまう
戸馳大橋は架け替え工事中で完成は2019年の予定
交通量の多い国道から戸馳大橋を渡って戸馳島へ。何せ名前が「とばせ!」島なのだ、走らないワケにはいかない。戸馳大橋は架け替え工事中で完成は2019年の予定。名前のようには、飛ばせない筆者。 戸馳島には花の学校があり美しい花を愛でることができる。しかし、この日は筆者の日頃の行いが悪いのか休みだった…(木曜が店休日)。 ぐるっと島を一周回ったらまた戸馳大橋を渡り国道へ戻る。三角港へ着くとすてきな建物が出迎えてくれる。三角形の貝殻のような作りの三角港フェリーターミナル「海のピラミッド」。設計は熊本出身で小国ドームも手がけた、葉祥栄氏だ。
三角港フェリーターミナル「海のピラミッド」と記念撮影
三角港から交通量の多い国道を避け、天草1号橋(天門橋)のたもとに出る道を走る。その天草1号橋は自転車で通るには道幅も狭く交通量も多く怖かったのだが、2018年5月に自動車専用道の新1号橋ができるので一気に走りやすくなるはずだ。
三角西港から眺めた天草1号橋と新1号橋
ロードバイクで行く道ではないのは重々承知、もちろんバイクを担いで登った
昭和41年(1966年)に開通した当時は有料で普通自動車は800円だったため、夜間に料金所に人がいなくなってから通っていた人も多かったとの笑い話もある。30年償還の予定がわずか10年弱で無料開放されたほど、通行量が多く重要な道だった。 大矢野島の国道266号線、岩谷トンネルを抜けると左折して裏道に入る。ここからは、のんびりした田舎道になる。西大維橋と東大維橋を渡って維和島(いわじま)へ。果樹園の中の上りを抜け花公園の手前で高山頂上という看板が左に出る。そこからは荒れた路面と激坂が待っているので、あまりおススメはしないが、頂上に立つと素晴らしい景色を一望できる。
左に野釜島と野釜大橋を望み、奥には長崎雲仙普賢岳が見える
橋を渡り大矢野島に戻り島の南部を回る。国道を横切り島の西海岸に出ると、また素晴らしい景色が広がる。左に野釜島と野釜大橋を望み、奥には長崎雲仙普賢岳が見える。国道266号線に戻り、大矢野島の中心部を通る。コンビニや蜂来饅頭の誘惑もあり、そろそろお腹が空いてきた。
天草・島原の乱の資料館「天草四郎メモリアルホール」前
お刺し身や海鮮丼がおいしいのはもちろん、海老フライがこれまた美味!
昼食は「スパ・タラソ天草」で取ることにする。ただ施設までの道がこれまた激坂なので注意だ。ここは温泉に海水のプールもあり、ライド終わりに立ち寄るのもおススメ。ここのプールのジェットバスで体をほぐし、海の幸を食べるのが一番の幸せだ。
展望台で海賊ごっこやタイタニックごっこも楽しい
仲間と出かけた人は、時間があれば上の展望台に登り海賊ごっこやタイタニックごっこに興じるのも楽しい。ここの階段をビンディングシューズで上るのは、ちょっと厳しめなので注意したい。 少し運動をしてデザートを食べる準備をしよう。今までの海岸線より少しだけアップダウンがあるので、ちょうどいい。山道を抜けたら国道266号線を左折、天草1号橋を渡り宇土半島へと戻る。国道57号線を左折して1kmほど進むと左手に世界文化遺産、三角西港がある。

■スパ・タラソ天草

住所:熊本県上天草市大矢野町上732-14 営業時間:10:00~22:00(食事は20時まで) 定休日:毎月第2・第4火曜日(祝日の場合は、営業) 電話:0964-56-1126 ウェブサイト:http://www.spa-thalasso.jp/
石畳の道とハイカラな建物が旅気分を盛り上げてくれる
 明治20年(1887年)に完成した石造りの港は当時の面影を色濃く残し、映画の撮影地としてよく登場するので見たことがある人も多いだろう。三角西港珈琲屋 和蘭館(おらんだかん)でコーヒーとデザートをいただく。人気の観光地なので休日は待つことになるかもしれない。

■三角西港珈琲屋 和蘭館

住所:熊本県宇城市三角町三角浦1268-1 営業時間:11:00-18:00 電話:0964-52-2050
ちょっとだけ、シシリー島・タオルミーナ気分、行ったことないけど
海を眺めながらケーキとコーヒーをいただく。器も良いものを使っている
食べたあとは国道57号線を北上、そのまま宇土駅まで走ってもいいが、ここはちょっと趣向を変えて太田尾海水浴場を右折して上る。いい道!と思ったのもつかの間、細い田舎道へと誘われる。一部工事中の区間があるが、そこを抜けるとまた快適な道へと出る。あまり平地ばかりだと飽きてくるので、これくらいの上りだと楽しく感じる。ピークを越えると景色が広がり眼下に戸馳島が望める。
先程走って来た戸馳大橋に戸馳島、対岸の八代市が見える

洋風で雰囲気のある三角駅

下り切ったら三角港、その正面にこれまた雰囲気のよい三角駅がある。本数が少ないので注意が必要だが、山の中と海沿いを走るJR三角線は気分がいい。ここから輪行で、列車の旅を楽しむのも悪くない選択だ。
洋風でパステル調の色もすてきな三角駅
天草のサイクリングルートが詳しく書かれた「AMA-ICHI」マップ
約100km、1000m上らないコースなので初級者がチャレンジするルートとしてもいいかもしれない。気分や体調によってコースをショートカットできるのもポイントだ。天草は「AMA-ICHI」というバックポケットに収まるサイズのサイクリングマップも用意されているので、ぜひ手に入れて次のライドに役立ててはいかがだろうか。 ※撮影の都合上、一部の写真は進行方向と逆になっています。