2021.7.20
ある場所をぐるりと自転車で一周する「〇〇イチ」。琵琶湖を一周するビワイチ、淡路島を一周するアワイチなどがありますが、今回紹介したいのが、日本で2番目に大きな湖、茨城県にある霞ケ浦を一周するカスイチです。カスイチは1周約125km。ショートカットはできますが、今回はきっちりカスイチをやってみました。実走してみてわかったカスイチの攻略法と魅力についてお伝えします。
オススメポイント | 日本で2番目に大きな湖となる霞ヶ浦を巡るコース。国が指定するナショナルサイクルルートに組み込まれており、近年、多くのサイクリストから注目されている。湖岸を走るならばアップダウンはかなり少ない。走行距離が約80kmに短縮できるショートカットもできる。ロングライドに向けて中上級者へステップアップするのに最適。 |
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レベル | ★★★(上級者向け) |
距離 | 125km |
獲得標高 | 618m |
出発・終着地 | JR土浦駅もしくはかすみがうら市交流センター |
立ち寄りグルメ | こうのの大福、しをみ食堂 |
立ち寄りスポット | 天王崎公園、天王崎観光交流センターコテラス |
カスイチは今、注目度の高いサイクリングコースです。国土交通省が認定するナショナルサイクルルート「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の一部をなしているからです。もともとナショナルサイクルルートは、観光振興が目的のひとつになっており、国が選定したサイクリングルートとなります。
もちろん、選定にあたっては、指定要件があります。魅力的な景観、安全なルート設定と走行環境の整備など様々な面での配慮の有無が、要件として組まれているのです。つまり、これらをクリアした優良なサイクリングコースということになります。
さて今回、カスイチを実施するにあたって、走行後でも重要だと感じたのは、プランニングでした。何時にどこをスタートして、時速何キロで走行し、昼食・休憩場所をどこにするかです。カスイチをストイックに実践しようとすると、道沿いは湖ばかりといったところで、休憩スポットはかなり限られてしまいます。
スタート地点としては、交通の便、ロッカーの有無、補給食の購入などを考えるとJR土浦駅、もしくは無料駐車場のある、かすみがうら市交流センターが候補となりそうです。昼食スポットはざっくりというと、湖東部の国道355号沿いに多く店舗があります。今回はかすみがうら市交流センターから湖を左周りにスタートし、国道355号線沿いで食事をとることを計画しスタートしました。
走り出して気づいたのは、路面に矢羽根の案内表示があることでした。案内表示はナショナルサイクルルートの指定要件にもなっており、こうした表示があると、サイクリングをする際の安心感は高まります。休日に訪れたからか、サイクリストの姿も多く、走り出しからすれ違うのはサイクリストばかり。そのせいか、一瞬、自転車専用道かと思ってしまいましたが、時折、自動車やバイクとすれ違うので、注意したいところです。
カスイチの魅力は何といっても、霞ケ浦のスケールの大きさです。対岸までかなりの距離があり、風で波が立つ姿を見ていると、海のように思えてきます。湖の反対側へ目を向ければ田園地帯などのどかな景色が広がるところが多いです。
走っていると時折、幻想的な風景にも出会いました。湖北エリアでのことだが、雲の切れ目から差し込む光芒の奥に雄大な筑波山が見え、その美しさは足を止めて見入ってしまうほどでした。
ルートは基本的に平坦であり、乗り手のレベルを問わずにサイクリングを楽しめるのも魅力でしょう。平坦ばかりでは物足りないという人もいるかもしれません。実はそうした人でも楽しめるのが霞ヶ浦なのです。霞ケ浦は四方を台地に囲まれていて、台地周辺は坂が多いようです。今回、湖南、湖北で一度、サイクリングルートから外れてしまったのですが、その際、何度も坂道が出現しました。疲れた体にはグッとくる、インパクトの強い坂道が続きました。
ひとつ注意したいのが、風です。今回は、あらかじめ風向きを計算して走り出しから良かったものの、それでも、湖一周となると、向かい風を耐え凌ぐ時間帯がありました。周囲には風を遮るものがなく、風は強いと考えておいたほうがいいでしょう。体力が失われた後半で向かい風を受けると、心は折れそうになります。風向きと風の強さは事前に調べておいたほうがいいでしょう。
風が強く思ったほどたやすく湖一周をさせてくれなかったのがカスイチですが、走破してしまうと、試練があったからこそ、満足度が高いようにも思えます。カスイチのコースを知っている人からは「平坦ばかりで簡単なんでしょ?」なんて言われそうですが、実際走ったことのある身として「いやいや、違いますよ」と得意げに答えたくなるのです。こうした困難があるからこそ、カスイチを達成したときのうれしさ、楽しさは格別です。「さて、次はどの〇〇イチをやっててみようか」と急に心が大きくなります。新しいことに挑戦してみようという意欲が湧いてくるから不思議です。
最後に今回の立ち寄りスポットを紹介します。どちらも、カスイチのルートから少しはずれることになります。冒頭に記したとおり、カスイチを楽しむならば、事前に昼食の場所を決めておくことをオススメします。
最初に訪れたのが稲敷市にある、こうのの大福です。サイクリングルートから少し離れた場所にあります。大福はパックのみの販売(一番小さいもので6個入り)となっており、単品での購入はできませんが、カロリー消費の大きいサイクリングの補給食として考えるならばうってつけかもしれません。味はほんのりと尾を引かない甘さです。ほぼサイクリングルート上にあった数少ない休憩施設となるのが、天王崎観光交流センターコテラスです。カフェや物産の販売などが行われており、施設にはあそう温泉白帆の湯も併設されています。無料駐車場も備え、ここを拠点にしたサイクリングもよさそうです。
すぐ近くには茨城百景のひとつになっている天王崎公園(冒頭の写真)もあり、休憩と撮影を兼ねるのもいいのではないでしょうか。
昼食で訪れたのは民宿しをみ食堂。口コミの数がとにかく多かったのが印象的です。午後2時閉店なので、カスイチをする際は時間に間に合うよう計画的に訪れたいところ。サイクルラックこそありませんが、訪れるサイクリストは非常に多いとのことです。オススメというカレーを頼みましたがとにかく量がスゴイ。長距離サイクリングをする場合、昼食をとってもお腹が減りますが、今回に至ってはそうしたことはありませんでした。
カスイチは多くのサイクリストが挑戦していますので、立ち寄りグルメ・スポットは様々な方の意見を参考にしてみるといいと思います。
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