TOP サイクリングコース 6島縦断、1島1グルメ以上! しまなみ海道食い倒れサイクリング(広島・愛媛)

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6島縦断、1島1グルメ以上! しまなみ海道食い倒れサイクリング(広島・愛媛)

 広島県の尾道市と愛媛県の今治市を、大小6つの島々を橋で結び、自転車で本州から四国までを走り通せる「しまなみ海道サイクリングロード」は、ナショナルサイクルルートにも選ばれた、名実共に日本を代表するサイクリングコースです。尾道から今治までの片道ルートを少し変わったルールで走ってみました。

「しまなみ海道サイクリングロード」瀬戸内海の島々と橋が織りなす美しい風景と絶好の走行環境が魅力です
オススメポイント瀬戸内海を自転車で横断できる。美しい瀬戸内海の島々の景色や、橋からの眺望が目を飽きさせない。自転車での橋の利用料金は「しまなみサイクリングフリー」という企画割引によって、現在無料化されている。大小6つの橋はバラエティに富み、また6つの島もそれぞれ異なる表情を見せてくれる。
レベル★★★(上級者向け)
距離 約93km
獲得標高 約695m
出発・終着地 JR尾道駅〜JR今治駅
立ち寄りグルメ住田製パン所、後藤飲料水工業所、はっさく屋、はっさく工房 まつうら、ドルチェ、ドルチェ 瀬戸田本店、瀬戸田梅月堂、岡哲商店、しまなみロマン、猪骨ラーメン、マリンオアシスはかた、石のカフェ、道の駅 よしうみいきいき館
立ち寄りスポット大山祇神社サンライズ糸山

 しまなみ海道はこの十年来、サイクリング環境の整備が多方面で進んでおり、サイクリングに関するサービスは量・質ともに充実しています。その玄関口となるJR尾道駅は2019年に新駅舎がオープン。駅前広場と屋根下のスペースがたっぷりあり、輪行アクセスでの自転車の組立て作業場所には困りません。レンタサイクルも複数の事業者が提供しており、手ぶらアクセスでのサイクリングも可能です。

 今回は改めて尾道→今治をスタンダードに縦断してみながら、お楽しみとして「各島1つ以上の地元グルメを味わう」というルールを設けました。早速出発しましょう。

尾道駅前を出発!

最初の向島へは渡船にて

 まずは最初の島、向島へ渡船で尾道水道を渡ります。尾道水道には尾道大橋が架かっており、歩道もあるので自転車でも渡れるのですが、やや回り道になるのと歩道が狭くやや危険なのもあって、渡船の利用が推奨されています。渡船は駅前すぐのものや、安くて便数も多い福本渡船もありますが、今回は駅から少し離れた土堂から乗る「兼吉渡し」を利用します。運賃は自転車込みで110円。出発したら3分ほどで対岸に到着です。

川のような幅の海、尾道水道を渡船で渡り最初の島・向島へ

 まずは商店街を抜ける場所にある「住田製パン所」であんパンを頂きます。大正5年創業という老舗で、シンプルなこしあんパンが、これからの道のりへのパワーを与えてくれます。

午前6時開店という働き者の住田製パン所。ここまでではないにせよ、しまなみ海道の商店は朝8時台から開いているところが少なくないです
素朴な味わいのあんパン

■住田製パン所

住所:広島県尾道市向島町24-1
電話:0848-44-0628
営業時間:午前6時〜午後7時30分
定休日:年中無休
http://www.sumidapan.jp

 さらにもう少し進むと、レトロな店構えの「後藤飲料水工業所」で、手作りサイダーを味わいます。お店の中にサイクルラックがあるので、そのままバイクを押して入っちゃいましょう。

ブルーライン沿いにある後藤飲料水工業所。こちらも創業は昭和5年だとか
昔懐かしい瓶入りサイダーやラムネが味わえます。瓶を再利用するため、持ち帰れない幻のサイダーです

■後藤飲料水工業所

住所:広島県尾道市向島町755-2
電話:0848-44-1768
営業時間:午前8時30分〜午後5時30分
定休日:不定休

 早くもお尻に根が生えてしまいそうですが、旅は始まったばかり。向島はまだ信号も多く、市街地といった趣です。ルートはブルーラインを見ながら走れば、まず間違うことはないでしょう。ルート上を示すブルーラインには、どちらに向かっているかと、尾道〜今治のメインルートでは1kmずつの残り距離、そして曲がり角では手前と50m前に、それぞれ案内が表示されています。看板なども充実しているので、スマホの地図等はほぼ見なくても、メインルートであれば走りきることができるはずです。

ルート全域にブルーラインが引かれます。行き先、残り距離、二段階の曲がり角案内など、とても親切で分かりやすいです
橋の手前は上り坂、ということで、登り口には坂の距離や勾配の看板が。他にも案内はとても充実しています

因島では変わり種大福を

 因島大橋を渡ると因島です。ここは八朔(はっさく)発祥の地。ということで大橋そばでまず、定番の「はっさく大福」をいただきます。大福の甘みと八朔の微妙な苦みとがベストマッチで、毎回味わいたい逸品です。因島は変わり種お好み焼きの「いんおこ」も知られますが、ルート上にお店が無いようなので今回は諦めます。「カフェオレ大福」のお店はお休みで今回は残念。

因島大橋は2階建ての吊橋。自転車は自動車道路の下の層を通ります
定番・はっさく屋のはっさく大福

■はっさく屋

住所:広島県尾道市因島大浜町246-1
電話:0845-24-0715
営業時間:午前8時30分〜売り切れ次第終了
定休日:月・火(月、火が祝日の場合はその週の営業日が変則的になるため、要問合せ)
http://0845.boo.jp/hassaku/
1991年に完成した生口橋は複合斜張橋という珍しい構造の斜張橋で、完成当初は世界最長の斜張橋だったそうです

 道は向島より信号が減り、ずいぶん走りやすくなります。次の生口島に渡る生口橋が見えてきたところで、橋の下にサイクリストが集まっているお店が。4年前にオープンしたという「はっさく工房 まつうら」です。はっさく大福は売り切れでしたが、みかんが丸ごと入ったみかん大福を頂きました。爽やかパワーを注入して、いざ次の島へ!

次に渡る生口橋のすぐそばにある「はっさく工房 まつうら」
みかんが丸ごと入ったみかん大福。他にもシャインマスカットやいちぢく等がありました

■はっさく工房 まつうら

住所:広島県尾道市因島田熊町4862-10
電話:0845-23-7087
営業時間:午前8時30分〜午後5時
定休日:水・木(その他不定休あり)
https://はっさく.com/

生口島は食い倒れの中間地点

 生口島は景色が少し南国の趣となり、マリンスポーツに興じる人たちの姿も多く見るようになります。海沿いの快速ルートの途中にあるのは、ジェラート専門店の「ドルチェ」です。サイクリストに限らず定番中の定番なので、ぜひにと立ち寄ります。尾道のイチヂクを使ったジェラートをいただきました。

広〜い駐車場が目印の「ドルチェ」
地元の素材を生かした各種ジェラートから、今回は尾道のイチヂク(アイスミルク)をチョイス

■ドルチェ 瀬戸田本店

住所:広島県尾道市瀬戸田町林20-8
電話:0845-26-4046
営業時間:午前10時〜午後5時
定休日:年中無休
http://www.setoda-dolce.com
生口島はどことなく南国の雰囲気

 さらにしばらく走ると、瀬戸田の市街地へ。生口島はレモンの産地ということで、レモンケーキも名物になっています。各店が個性豊かなレモンケーキを作っていますが、今回は耕三寺前にある梅月堂の「すっぱいレモンケーキ」を頂きました。甘い生地と酸味のきいたピューレのコントラストが素敵です。

梅月堂のすっぱいレモンケーキ。すっぱくないレモンケーキは洋酒仕立てだとか
瀬戸田に来たら食べておきたい「岡哲商店」のビーフコロッケ

 そのまま進んで「しおまち商店街」では「岡哲商店」のビーフコロッケも定番。外はカリッとしてて中身はトロッと濃厚。「昨日まで90円だったけど、今日から100円になったの」とのことですが、100円でも大満足のボリュームです。

■瀬戸田 梅月堂

住所:広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田546
電話:0845-27-0132
営業時間:午前8時30分〜午後6時
定休日:木(祝祭日のある週は木曜営業、別日が休日となる場合あるため要事前確認)
https://baigetsudou.com

■岡哲商店

住所:広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田517
電話番号:0845-27-0568

 さらに進み、瀬戸田港前の「しまなみロマン」にて、「レモンポーク丼」を頂きます。柑橘の絞りかすをエサに育った豚のお肉とのこと。スッキリ爽やか、ではなく、濃厚ジューシーなポークを生かしたガッツリご飯です。まだ道のりは半分ですが、だいぶお腹いっぱい。瀬戸田港からは尾道港への船も出ているので、ここで瀬戸内クルーズで尾道へUターン、というプランも頭をよぎりましたが、気を取り直して進みます。

瀬戸田港から船に乗ると約40分で尾道に戻れます。港の目の前にあるのが「しまなみロマン」。レンタサイクルもあります
質も量もたっぷりなレモンポーク丼。これだけでしまなみ海道片道走れるくらいのボリュームです

■しまなみロマン

住所:広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田214-1
電話番号:0845-27-0010
営業時間:午前10時〜午後9時(日〜木の午後5時以降は要予約)
定休日:水
https://shimanami.co.jp
多々羅大橋を渡れば愛媛県へと入ります

大三島でお詣りと猪骨ラーメン

 生口島と大三島を結ぶ多々羅大橋を渡ると、県境を越えて愛媛県に入ります。しまなみ縦走ルートは島をほぼかすめるだけですが、ここでは例外的に寄り道ルートを走ります。峠を一つ越えて下った先にあるのは大山祇神社。全国にある山祇神社の総本社という由緒ある神社で、サイクリストが身に付けられる「ヘルメット守」もあります。ぜひお詣りしましょう。

山の神・海の神・戦いの神として知られる大山祇神社。鳥居に向かって右側に自転車置き場があります(ラックもあり)
ヘルメットに両面テープで貼り付けられる「ヘルメット守」

 そして大山祇神社の門前すぐにあるのが「猪骨(ししこつ)ラーメン」。大三島では農業被害をもたらす猪の捕獲後活用が進められており、豚骨ならぬ猪骨を使った風変わりなラーメンが新しい名物になっています。濃厚だけどこってりしすぎない、不思議な味わいでした。

神社門前すぐにある「猪骨ラーメン」。神社の自転車置き場にバイクを置いて徒歩でも来られる距離
塩・味噌・醤油の3種類の猪骨ラーメンが味わえます。塩ラーメンを頂きました

■猪骨ラーメン

住所:愛媛県今治市大三島町宮浦5516
電話番号:0897-72-8780
営業時間:正午〜午後2時(土曜は午後5時~午後7時も営業)
定休日:月、火(祝日の場合変更あり、臨時休業もあるため要事前確認)
https://www.shishikotsu.com/
大三島橋はしまなみ海道唯一のアーチ橋で、逆に新鮮

伯方島で塩&柑橘デザート

 大三島橋を渡り伯方島へ。橋から下って下道に出たところで、本来のルートではなく右側に面白そうな横道を発見。進んでいくと道沿いの造船所で巨大な船が建造中でした。伯方島は造船の島として知られているので、ぜひ間近で迫力を味わいましょう。また伯方といえば…塩! ルートに戻って少し行った先にある「マリンオアシスはかた」は「塩ソフト」が名物です。

巨大な船体が作り上げられている姿を間近に見ることができます
伯方の塩を使った塩ソフト
各種柑橘のスイーツ類も充実しているので、色々試しみましょう

 そして愛媛といえば多彩な柑橘類も忘れてはならない名物。伯方島の…には限りませんが、ドライブインにはさまざまな柑橘ジュースや柑橘スイーツが売られています。追加デザートには柑橘ジュレをチョイス。もうかなり食べ過ぎているので、数種類ある中から一番スッキリ系の河内晩柑を選びました。

■道の駅伯方S・Cパーク マリンオアシスはかた

住所:愛媛県今治市伯方町叶浦1668-1
電話番号:0897-72-3300
営業時間:(ホームページにてご確認ください)
http://www.imabari-shimanami.jp/hakata/
しまなみ海道縦断もいよいよラストの島へ

「シメ」の大島

 伯方・大島大橋を渡ると、いよいよラストの島、大島にタイヤを踏み入れます。ここは中世にその名が知られた村上水軍の本拠地。また大島石の産地として知られ、走行ルートは全体に山がちな景色。一方で時折近くに見える海は、複雑な海流が見て取れます。

道路からも、複雑な海流を見ることができます。村上水軍は通行料を徴収しつつ、海上警護や水先案内なども行っていました

 ここまで尾道から距離は70kmほどと、とてつもない長距離を走ったわけでもないのですが、あちこちに立ち寄っていたら時刻は午後3時近く。そろそろカフェタイムですよね!ということで宮窪港を曲がってすぐのルート沿いにある「石のカフェ」でパンケーキとコーヒーを頂きました。最初は何も付けず、続けてシロップやソフトクリームを合わせて。濃厚なソフトクリームはミントの葉と一緒に食べるのもおすすめですよ。

「石のカフェ」はオーナーの家業が大島石の採石で、大島石の魅力を発信するカフェだそう。駐車場も大島石!
注文を受けてから焼き始めるパンケーキ。コーヒーと一緒にリフレッシュタイム

■石のカフェ

住所:愛媛県今治市宮窪町宮窪5216-8
電話番号:0897-72-9253
営業時間:午前10時〜午後4時(L.O.午後3時)
定休日:水木金、6月第3週、年末年始
https://ishinocafe.com
いよいよラストの橋が見えてきました!

 たっぷり食べ過ぎてだいぶお腹も苦しいのですが、四国本土に渡る来島海峡大橋が眼前に迫ると、ちょっと名残惜しくなってきました。橋のたもとにある「道の駅 よしうみいきいき館」で、シメに「鯛塩ラーメン」を頂きます。身の締まった鯛と、魚介のきいた塩スープで、予想以上の一品。大満足でした!

最後の橋を目の前にした「道の駅 よしうみいきいき館」は、密かなしまなみグルメの宝庫!
濃密かつクドすぎない味が絶妙な「鯛塩ラーメン」はシメにぴったり

■道の駅 よしうみいきいき館

住所:愛媛県今治市吉海町名4520-2
電話番号:0897-84-3710
営業時間:(ホームページにてご確認ください)
http://www.imabari-shimanami.jp/ikiiki/
しまなみ海道のシンボルともいえる来島海峡大橋は、全長4km超を一気に橋で渡ります

楽しみ方は無限大

 最後にしまなみ海道のシンボル的な3連吊橋、全長4km超の来島海峡大橋を渡り、四国本土に入ります。橋から降りてすぐのところにある「サンライズ糸山」は、レンタサイクルターミナルになっているだけでなく、橋を望むビュースポットに写真映えする「SHIMANAMI」モニュメントがあるので、往路でも復路でも、ぜひ立ち寄っておきたいスポットです。

サンライズ糸山の「SHIMANAMI」モニュメントは絶好のフォトスポット

 橋から7kmほどで、終点の今治駅。サイクリングステーションや広場があり、こちらも輪行作業や荷物整理に便利です。駅そばに温泉施設もあるので、時間があればゆったり汗を流してから帰るのも良いでしょう。

JR今治駅に無事到着! すっかり日も傾いてしまいました。御馳走様でした!

 駆け足で紹介してきましたが、しまなみ海道の魅力は年々増大していることを実感しました。グルメスポットもまだ紹介しきれないほどあり、毎回違うお店を巡るプランを立てるのも面白そうです。宿泊や船舶も組み合わせれば、巡り方も千差万別。メインルートは橋の前後が坂になるものの、他は平地やなだらかなアップダウンが中心で、小学生が家族でチャレンジしている姿も見られました。健脚派から初心者まで幅広く楽しめる屈指のルート、ぜひ一度“味わって”みてくださいね。

(2021年9月取材)