TOP サイクリングコース 兵庫・宝塚〜伊丹の街中をフラットペダルで散策
歌劇の街から飛行場、酒蔵の街へサイクリング

Cycling Course厳選サイクリングコース

兵庫・宝塚〜伊丹の街中をフラットペダルで散策
歌劇の街から飛行場、酒蔵の街へサイクリング

 大阪府と兵庫県の境界一帯はすぐ北側に豊かな北摂山地を抱え、日本有数の大都市近郊ながら恵まれたサイクリング環境にあります。宝塚?伊丹エリアはほぼ平坦で、立ち寄りスポットやビュースポットが多く、散策サイクリングに最適です。今回は兵庫県の阪神北県民局宝塚土木事務所が発行する『北摂里山-新発見-サイクルマップ』から、初級コースにあたる「宝塚伊丹街中コース」を走りました。のんびり歩く箇所もあるので、スニーカー&フラットペダル推奨! さぁ、出掛けましょう!
阪急宝塚駅の駅前広場には、宝塚歌劇をイメージした銅像が
オススメポイント歌劇の街と飛行場、そして酒蔵、コロコロと分かる街並みを散策できる街中サイクリング
レベル(初級者向け)
距離29.2km
獲得標高77m
始発・終着地始発・宝塚駅(JRか阪急) / 終着地・阪急伊丹駅
立ち寄りグルメ長生堂(モンブラン大福)、テキスト(パスタセット)
立ち寄りスポット宝塚大劇場昆陽池公園中筋八幡神社伊丹スカイパーク

華やかな宝塚歌劇の本拠地

出発地は宝塚駅。JRと阪急電車でのアクセスが可能です。宝塚と言えば、現代では「宝塚歌劇」を連想する人が多いのではないでしょうか。元々は街道沿いの温泉地だった宝塚ですが、明治時代の終わりに阪急電車の終点となったことで、鉄道集客のためにレジャー開発が行われ、昭和の時代まで関西有数の行楽地として知られるようになります。 遊園地、動物園、植物園などもありましたが今は昔。現在はすっかり住宅地となり、温泉宿もほとんどが姿を消してマンションへと建て変わってしまいました。それでも残り続けたのが宝塚歌劇。珍しい女性だけのミュージカル・レビュー劇団として、2014年には創立100周年を迎えました。大阪市内から数十分かかる不便な立地でありながら、2550席を誇る宝塚大劇場では、年間約280日(1週間あたり5日以上計算なので、ほぼ毎日)公演が行われています。
年間100万人を動員するという、宝塚大劇場
宝塚駅から宝塚大劇場に向かう際に通るのが「花のみち」。季節の花々が植えられ、春は桜も咲き誇るなど、通行する人々の心を和ませます。駅から劇場にかけては、南欧風の白壁とオレンジの屋根で統一された美しい町並み。サイクリングがスタートしたばかりですが、自転車には乗らず、車道に挟まれた中央部を歩いて散策するのがお勧めです。運が良ければ、スターがファンと共に劇場入りする姿を見られるかも知れません。
宝塚大劇場へと続く「花のみち」
花のみちには『ベルサイユのばら』のオスカルとアンドレ像も

武庫川を下り競馬場へ

宝塚市立手塚治虫記念館。火の鳥がお出迎え
華やかな劇場前を通過して阪急の高架をくぐると、左手に手塚治虫記念館が見えてきます。その名の通り、戦後から現在へ続く日本のマンガ文化の礎を築いた“マンガの神様”、手塚治虫氏の記念館です。出身地である宝塚市に記念館がオープンしたのは1994年。貴重な資料の展示や、季節ごとの企画展などが行われています。 記念館の前を右に曲がり、宝塚大橋で武庫川を渡ります。宝塚のレジャーが盛んだった時代には、武庫川をせき止めた人造湖があり、ボート遊びなども行われていました。今もその面影を少しだけ見ることができます。
宝塚大橋から武庫川、宝塚大劇場を望む
橋の向こうの信号を左折し、しばらく道を行きトンネル前の信号を左折。さらにしばらく走ると、大きな末広中央公園が左手に見えてきます。ここはトイレポイントに便利。天気が良ければのんびり一休みするのも良さそうです。
広い芝生がある末広中央公園。向こう側は宝塚市役所
武庫川の河川敷へ
公園の先を左に曲がり、すぐ目の前に見えてくる橋の手前を右に曲がると、武庫川の河川敷へと下っていけます。広々とした河川敷のサイクリングをしばし楽しみましょう。一つ下の橋をくぐってすぐに河川敷から出て、内陸側の道を川沿いに進むと、阪神競馬場が近付いてきます。
自動車が来ない河川敷の道路をのんびりサイクリング。歩行者には注意しましょう
まるで宇宙船のような阪神競馬場のメインスタンド
阪神競馬場は桜花賞や宝塚記念が開催される、中央競馬の競馬場です。場内には庭園や緑地なども整備されていて、週末には催し物も多く開かれています。入場は有料ですが、大きなメインスタンドは外から眺めても雄大で、入らなくても近くまで来た甲斐はあったと思わされます。

昆陽池で野鳥を観察

競馬場を横目に今度は少し北上し、今度は武庫川新橋を渡って伊丹市に入ります。橋を渡って少し先の県道42号線(通称尼宝線)を右折してしばらく南下しますが、このあたりは交通量が多く、路肩も狭いので十分注意しましょう。天神川を渡ったところで左折し、しばらく川沿いを走ります。川のそばに草木が多く、春から秋にかけては緑が美しそうな道です。少し走ると昆陽池公園の側に着きます。
野鳥が集まる昆陽池公園
昆陽池は関西屈指の野鳥の飛来地。奈良時代の名僧・行基が作ったという農業用のため池で、昭和時代に公園化されました。敷地内には伊丹市昆虫館もあります。自然の生態に触れながら少し休憩しましょう。
昆陽池は関西屈指の野鳥の飛来地
昆陽池の中央には、日本列島を模した人工島があります
昆陽池からはしばし北上。前方の北摂山地が少しずつ近付き、若干の上り基調です。山の大分上の方まで住宅地が広がっていますが、あそこまで自転車で上るのは少々大変そうです。もちろん今回は手前で曲がります。
北摂山地が目前。山の中腹まで住宅地が広がります
中筋八幡神社
国道176号線の旧道を右に、川西方面に向かいます。と、その交差点わきにある中筋八幡神社が気になったので、自転車を停めて参拝しました。「重要文化財指定」とある割には、建物は見るからに新しそうです。実は1995年の阪神・淡路大震災で全体が倒壊し、本殿は地震の翌年に修理復元されたのだそう。ちょっとした違和感に震災の記憶が潜んでいるのだと気付かされます。

英国風庭園でランチ

道をしばし進み、下り基調のカーブを気持ちよく抜けると、道路の反対側に「モンブラン大福」の看板が見えました。気になって自転車を停め、店内へと入ります。「長生堂」は親子2代、50年の歴史があるという小さな和菓子店。通りすがりのサイクリストが立ち寄ることも結構あるそうです。栗がたっぷり入ったモンブラン大福と、ジューシーないちご大福をいただきました。
季節の素材を生かした大福がそろう「長生堂」
モンブラン大福(左)には栗がたっぷり

■長生堂

住所:兵庫県宝塚市山本中3-17-9 電話:0797-80-2111 営業時間:9時?19時 定休日:木曜
 長生堂のすぐ先には、「あいあいパーク」があります。ここは宝塚市立の園芸振興センター。バラエティ豊かな花々が並ぶガーデニングショップや、それらを用いたモデルガーデンなどもあります。英国風の建物は、中を散策するだけでも楽しいスポットです。カフェやレストランもあります。
英国風の「あいあいパーク」
あいあいパークの敷地内には、100円パン「yakitatei」(ヤキタテイ)のベーカリーカフェもあります。店内では菓子パンや惣菜パンなど、バラエティ豊かな焼きたてパンが常時数十種類並び、その全てが100円(税抜)という破格値。飲み物やパスタ、サンドイッチなどのカフェメニューもあり、店内で食事をすることもできます。テラス席もあるので、天気の良い日は外でのランチもお勧め。道路向かいにある山本新池公園には英国風庭園があります。
お昼どき、ざっと数えて40種類ほどのパンが並んでいました
ヤキタテイのパスタセットはパスタ+好きなパン+サラダで590円(税込)。ドリンクは+173円(税込)

■yakitatei 宝塚あいあいパーク店

住所:兵庫県宝塚市山本東2-2-1 電話:0797-88-3948 営業時間:7時?19時 座席:70席
能勢電鉄がかつて走っていた廃線跡。カーブ具合に鉄道時代の面影が
あいあいパークを後にしてしばらく走り、右手にJRの線路が並走すると、すぐ先に川西池田駅があります。駅ロータリー手前を左に入っていく道は、実はかつての鉄道跡。阪急の川西能勢口駅から国鉄(当時)の川西池田駅前を結ぶ、能勢電鉄の路線が走っていました。といっても昭和56年に廃止となったので、今はもうほとんど面影は残っていません。

迫力の離着陸を間近で

道なりに進み、川西の市街地を抜けると、猪名川を渡ります。橋を渡ってすぐの信号を右折して。少し川沿いを走ると、河川敷へと下りられます。猪名川は武庫川よりも広く、開けた景色の中をしばらく下ります。
武庫川より広い猪名川の河川敷。しばらくは高速道路と並行
誘導灯の向こうには…
国道171号線の道路橋をくぐると、オレンジの誘導灯が斜めに連なっています。実はこれ、大阪国際空港(伊丹空港)の誘導灯。道なりに進んで土手の上に上がると、滑走路を目の前に望むことができます。ここは縦に滑走路が見え、離陸・着陸する飛行機を正面から見ることができるのです。
土手に上がると、そこには大阪国際空港の滑走路
大阪空港の滑走路は2本あり、最初に見えるのは短い小型機用のもの。中・大型機用の長い滑走路は、もう少し土手道を下っていくと、その正面に行くことができます。大阪空港では年間のほとんどの日で北向きに離陸するので、飛び立ったばかりの飛行機を間近に見ることができるでしょう。
飛行機の離着陸の様子を、真正面から観察できます
しばらく川沿いを下り、次に見えた橋の道路へと曲がって少し行くと、伊丹スカイパークへ到着します。ここは滑走路沿いに作られた幅80m・長さ1.2kmという公園。今度は真横から、離着陸の様子を見ることができます。午前7時から午後9時の限られた時間に、1日370便が離着陸するという大阪空港。少しの時間で何本もの飛行機を見られました。
伊丹スカイパークの北駐車場では、駐輪場にサイクルラックも設置
着陸の瞬間。緊張の一瞬
小型機の離陸はフワリと軽々
最新鋭のB787型機の離陸

清酒発祥の地へゴール

斜張橋の神津大橋
スカイパークを後にして、斜張橋の神津大橋で猪名川を渡ると、いよいよゴールは間近。JR線を越える陸橋は自転車は通行不可なので、歩道を通りましょう。ほどなくJR伊丹駅に着きます。阪急伊丹駅も近いので、輪行なら帰りはどちらからでもいいでしょう。 帰りの電車に乗る前に、伊丹駅周辺を散策するのも良いかも知れません。伊丹は清酒発祥の地ともいわれ、江戸時代には酒造業が盛んになりました。1674年に建てられたという、日本最古の酒蔵「旧岡田家住宅・酒蔵」が旧市街地に今も残ります。この付近は酒蔵を生かした街づくりが進んでいて、散策が楽しい地域です。 「白雪」ブランドで知られる小西酒造も、伊丹が本拠地。日本酒の歴史などを紹介する「長寿蔵ブルワリーミュージアム」があります。飲んでから帰るのも、買って帰って家で飲むのも良し。でも飲んでから帰る場合は、自転車に乗らずに押して歩いて帰りましょうね。
旧岡田家住宅・酒蔵
レストランやショップも併設する、長寿蔵ブルワリーミュージアム