2022.7.19
ロードバイクユーザーを悩ます体の痛み。手、首、肩、腰、尻、膝など、痛みを覚える箇所は人様々です。あまりに苦痛で乗るのが嫌になってしまう人もいます。なぜ、ロードバイクに乗っているうちに痛みが生じるのでしょうか。痛みを和らげるにはどうしたらいいのでしょうか。自転車系YouTuberであり、本業は理学療法士を務めるtom's cyclingのTOMI氏に、痛みの原因から対応方法までを聞きました。第3回は腰の痛みの原因と対策について取り上げます。
※本連載はあくまで参考として紹介するものであり、痛みが強い場合などは医療機関の受診をオススメします。
ロードバイクに乗っていて腰に生じる痛みの原因は主に2つあると考えられます。ひとつは、お尻の筋肉(大殿筋)を使ったペダリングができていないケースです。大殿筋を使わずにペダリングを続けていくと、代償動作によって腰の筋肉にストレスがかかってしまい、次第に腰に痛みが発生します。大殿筋が使えていても、筋力が足りなかったり、酷使した場合も、次第に代償動作によって腰が痛くなっていくことがあります。
特にビギナーの場合、自転車は太もも(大腿四頭筋)でこぐものと考えている方が多くいますが、腰痛防止には大殿筋を使うことを考えたほうがよいです。
大殿筋を使ったペダリングをするには、下腹部(腹筋)に力を入れた状態で、脚の付け根(股関節)から脚を動かしたペダリングを意識すると大殿筋を使っている感覚を得やすくなります。股関節を使う意識として、膝を伸ばすのではなく太ももを上げ下げするイメージでペダリングしてみてください。また筋肉の場所を意識するだけでも力が入りやすくなります。ちなみに、この際に、サドル高が低すぎて適切でないと、太もも(大腿四頭筋)に力が入りやすくなりますので注意が必要です。
もうひとつが、サドルの高さが合っていないというケースです。サドルが高すぎると、ペダリングで下死点を迎えるたびに骨盤が地面の方向に落ちることになります。その際に背骨が少し曲がろうとするのですが、曲がらないように背筋(脊柱起立筋)が受け止めてくれます。その繰り返しがストレスになって腰の痛みとなります。
サドルが低い場合は、ペダリング時の上死点で足が詰まり、腰が後ろに倒れます。股関節の屈曲角度を確保できないために、その分、骨盤が後ろに倒れるようになります。この骨盤を後ろに倒したときに、背筋(脊柱起立筋)を使ってしまい、背筋にストレスがかかるために腰が痛くなります。
サドルの高さを変更する際の目安とやり方については第一回「ロードバイク乗車時のお尻の痛みの原因と対策」に記載したとおり、下画像のようにして調節します。算出した数値と実際のサドル高(BBからサドル上端までの距離)が大きく下回っているようならば、適切な範囲から外れている可能性があります。
腰が痛む場合の根本的な解決方法のひとつとして、腰痛予防や改善につながる腹横筋の筋肉トレーニングがあります。寝転がった状態で息を止めずにお腹を全力で凹ませたときに骨盤脇上に出てきた筋肉が腹横筋です。腹横筋が硬くなっているのを感じながら、お腹を全力で凹ませて、その状態を30秒キープします。筋トレには見えないかもしれませんが、この動作が腹横筋の筋トレとなります。
このほか、体幹トレーニングとして第1回でも紹介したハンドニーも有効です。腰痛に悩む人はまず腹横筋が足りない場合が多いので、上記の筋トレを行たうえで、ハンドニーを取り入れるといいでしょう。ハンドニーは四つん這いになり、お腹を軽く凹ませて背筋をまっすぐたもつようにします。その状態から右手と左足を伸ばし、次に、左手と右足をペアにして伸ばします。それぞれ10秒から30秒同じ姿勢を保ったままにします。これにより腹横筋のほか、背筋などインナーマッスル全般に効き、体幹を鍛えることができます。
背骨の曲げやすい場所はほぼ遺伝で決まっていて、人によって異なりますが、背骨を曲げたときにきれいなカーブを造れずにどこかが過度に曲がっている場合があります。その場合、一部に負担がかかって腰痛につながることもあります。このような人の場合、背骨を曲げやすいように背骨を反るとか、曲げられないところを曲げようとしてみるなど、背骨を曲げる練習していくといいです。
腰の痛みのストレッチはうつぶせになった状態から両手で上半身を立てて体を反らせた状態にし、脊柱起立筋を伸ばします。また、膝を曲げて上半身を屈曲させる方法もあります。
腰痛対策として、疲労した筋肉をほぐすマッサージも有効です。その際に役立つのがフォームローラーです。1,000円-2,000円程度の手頃な値段で手に入りますので、腰痛に悩む人はこの方法を試してみるといいでしょう。
フォームローラーを使った腰痛対策では、脊柱起立筋をマッサージしていきます。脊柱起立筋は腰から首までつながった長い筋肉です。フォームローラーを背中(肩甲骨付近)にあてて腰までローラーをあてていきます。脊柱起立筋を肩甲骨付近からほぐすことで、背中のカーブをきれいにし腰痛対策の効果が高まると言われています。
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