千葉・南房総をたっぷり満喫 高速バスで行く週末自転車旅

 温暖な気候で、海を眺めながらサイクリングが楽しめるとあって人気のサイクリングスポットとなっている千葉の南房総。都心からかなり遠いイメージがあるが、東京駅や新宿駅発着の高速バスを使えば約1時間50分でらくらく館山駅に到着できる。金曜の夕方、いつもより早めに会社を出発し、土曜の朝から房総サイクリングを楽しんで日曜は自宅でゆっくり休む。アクセスの良さを有効活用した、ちょっぴり贅沢な週末自転車旅を紹介する。

金曜の夕方、高速バスで東京を脱出! Photo: Naoki OHOSHI

“プレミアムな気分”で出発進行

 ときは月末金曜日、世間で話題の「プレミアムフライデー」だ。「そんなの他人事」といわず、夕方退社の意を決して仕事をテキパキこなそう。目指すはJR東京駅八重洲南口のバスターミナル。新宿のバスターミナル「バスタ」からも発着している「房総なのはな号」に乗れば、翌朝から思う存分南房総でサイクリングを楽しめる。

JR東京駅八重洲南口 Photo: Naoki OHOSHI

 館山駅行のバスは午後11時台まで出ているが、せっかく行くなら仲間と夜を楽しく過ごしたい。そこでおすすめするのが、太平洋を望む館山市のホテル「ホテルファミリーオ館山」(JR東日本ホテルズ)直通の高速バスに乗るというプラン。東京駅八重洲南口午後5時20分発の最終バスに乗れば、ホテルには午後7時半に到着する予定で、レストランの夕食も楽しめるという計画だ。

 午後4時に仕事を終えて着替えを済ませ、最低限の荷物と自転車を持ったら残りの荷物はオフィスに置いて出発。帰宅ラッシュ前の東京駅構内を足早に通り抜け、バスターミナルへと向かう。

東京駅JR高速バスターミナル バスのりば Photo: Naoki OHOSHI
「ファミリーオ館山前」まで運んでくれる最終バス Photo: Naoki OHOSHI

 お目当ての「房総なのはな号」では、輪行状態にし、手荷物料として500円を支払えば自転車を積載できる。電車と違い、席さえ確保(全席指定)すればあとは目的地まで直行。2700円+預け料500円で荷物の心配もせずリラックスできるなら利用しない手はない。いつもの遠征とはちょっと違う“プレミアムな気分”で、ビールとおつまみを片手に都心をいざ脱出。(※運賃は2017年4月現在、車内運賃)

東京・新宿~南房総をつなぐ「房総なのはな号」 Photo: Naoki OHOSHI
自転車は輪行状態にすれば積載できる(無料) Photo: Naoki OHOSHI

自転車フレンドリーな絶景ホテル

ホテルファミリーオ館山 Photo: Naoki OHOSHI

 午後7時半ごろ、バスは予定通り「ホテルファミリーオ館山前」に到着した。目の前に太平洋の絶景が広がる立地とホテルの外観は、まるで南国を思わせる佇まい。たった2時間ほどの移動で都会の喧騒を抜け出し、リゾート感を味わえる手軽さがうれしい。

 客室は広めのツインやファミリータイプからなり、全室で自転車をそのまま持ち込める。ゆったりと自転車を置けるスペースが確保され、複数台でも置き方次第で対応可能な印象だ。

全室、自転車の持ち込みが可能なので安心 Photo: Naoki OHOSHI

 また、クロスバイクやマウンテンバイクのレンタル(1時間500円~)も行っているほか、テニスコート、シーカヤックなどのアクティビティも豊富。いろんなスポーツを体験してみたい人や、スポーツの指向が異なるグループで訪れた場合も一緒に楽しめそうだ。

レンタルスポーツバイクも行っている Photo: Naoki OHOSHI
テニスコートもあり、スポーツの趣味が異なる仲間と来ても楽しめそう Photo: Naoki OHOSHI
本格的なイタリア料理が楽しめる「海山レストランBuono!」 Photo: Naoki OHOSHI

 そして館内の「海山レストランBuono(ボーノ)!」でお待ちかねのディナータイム。地産地消をテーマとした、館山でしか味わえない「海の恵み」と「山の恵み」の素材を活かしたイタリアンが堪能できる。

 種類が豊富なワインを楽しむのも良いけれど、ここに来たらまず味わってほしいのが地ビールの「安房麦酒」。小麦麦芽と千葉県三芳村の米「蛍まい」を使ったにごりのある「蛍まいヴァイス」はホップの苦みをおさえた軽やかですっきりした口当たりの白ビール。一方、ブルーベリーを贅沢に使用したフルーツビール「ブルーベリーエール」は赤ワインを想わせる口当たりと色あいで女性からも人気だという。

地ビールの「安房麦酒」。女性に人気のフルーツエールの「ブルーベリー」(左)と生ビールの「蛍まいヴァイス」 Photo: Naoki OHOSHI
南房総の海の幸、山の幸がふんだんに使われた料理(写真は2人前) Photo: Naoki OHOSHI
ここはもう南房総。翌朝早く起きる心配なし! Photo: Naoki OHOSHI

 たくさん食べて飲んでも終電の心配はないし、翌日のライドに備えて早寝早起きをする必要もないのがうれしい。さらに館内には各部屋ごとの浴室に加えて大浴場も完備されており、一週間の仕事の疲れをゆったりと癒すことができる。

 なお、宿泊客であればチェックアウト日の夕方まで無料で大浴場を利用できる。ライド後に汗を流して帰りたい場合は、ルート後半に再び立ち寄ってJR館山駅に向かうというプランもおすすめだ。

何かとうれしい「道の駅」

 朝9時にホテルを出発し、いったんJR館山駅に向かう。館山駅はホテルから自転車で10分ほど。少しでも身軽にライドを楽しむため、不要な荷物と輪行バッグは帰りに利用する駅のロッカーを利用すると効率が良い。

朝9時、ホテルをあとにして館山駅へ向かう Photo: Naoki OHOSHI
不要な荷物と輪行バッグは帰りに利用する館山駅のロッカーへ Photo: Naoki OHOSHI
館山駅からいよいよサイクリングへ出発! Photo: Naoki OHOSHI

 身軽になったらいよいよサイクリングスタート。南房総といえば、太平洋を眺めながらのサイクリングの印象が強いが、今回は内陸部の低山をめぐるルートも組み込んだ。景色やグルメなど、季節の変わり目が楽しい南房総ならではの魅力を見つけに、春の山と海を走る約73kmの旅へと漕ぎ出した。

序盤は山方面へ Photo: Naoki OHOSHI
季節の変わり目が美しい房総 Photo: Naoki OHOSHI
道の駅「富楽里」(ふらり)へ Photo: Naoki OHOSHI

館山駅から北へ18kmほど走ると、ルート右折の目印にもなる南房総市・富山地域の道の駅「富楽里(ふらり)とみやま」に到着する。道の駅はサイクリングにとって強い味方。トイレ休憩はもちろん、エネルギー補給として地元の名産を楽しめるのも良い。

 地元でとれた新鮮な野菜や果物が所狭しと並ぶ様子に、ついあれもこれもと手を伸ばしたくなる。が、荷物が重たくなるのでこの場で食べられる分だけを購入し、分け合って食べることに。

 南房総の名物「びわまんじゅう」は地元で採れた房州びわをジャムにして白あんと練り上げ、やわらかいカステラに包み込んで焼き上げるびわの形をした一口サイズのお菓子。食べた瞬間、口の中に広がるびわの甘味が小腹を満たしてくれる。

甘夏など旬な果物がたくさん Photo: Naoki OHOSHI
南房総名物「びわまんじゅう」 Photo: Naoki OHOSHI

 ここから東に逸れ、県道258号を内陸部に向かう。小高い丘を上る“プチ”ヒルクライムがスタートし、同時に木々が生い茂る山の緑が目に飛び込んでくる。色とりどりの花や鳥の声、ちょっと上りはあるけれど、やはり山には山でしか味わえない魅力がある。

内陸部の小高い丘でプチヒルクライム Photo: Naoki OHOSHI

 丘を越えたら今度は下り。この日は昼過ぎまで小雨まじりで、濡れた路面が続いた。ブレーキが利きにくくなるのでスピードを落とし、マンホールや落ち葉など特に滑りそうな箇所は避けて進む。やむを得ず踏んでしまう場合は、こいだりハンドルを切ったりせず、慎重に通過してスリップを予防したい。

 少し下ったところで「犬掛」の交差点を右折し、一気に房総半島を南下。スタートから28km地点にある道の駅三芳村「鄙の里」で再び休憩をとる。さきほどの「富楽里 とみやま」もそうだが、南房総の道の駅は“サイクリストフレンドリー”で、バイクラックが完備されているのがありがたい。

道の駅三芳村「鄙の里」に到着。バイクラックがうれしい Photo: Naoki OHOSHI

 ここでは、地元三芳の酪農家から仕入れた新鮮な生乳をたっぷり使ったソフトクリームが有名。地元のいちごを使ったオリジナルヨーグルト味にも惹かれつつ、ここは根強い人気のバニラをオーダー。濃厚なミルクの味わいは、がんばったあとのごほうびだ。

 ちなみに補給は小腹が空く前に軽く糖質を口にするのがポイント。サイクリングは想像以上にエネルギーを消費するので、おいしいものを見つけたらこまめに食べて疲労を押さえよう。疲れを感じ始めたら果物などで疲労回復効果のあるクエン酸を摂るのも良い。

 そしてここでのもう1つのごほうびが、足湯だ。スタートして約30km。まだ疲労は感じないが、それでも湯に足を浸すとじんわりとした温かさが足元から体全体に沁みてゆく。サイクリング中の足湯は筋肉の疲労回復に効果的なので、ルートの途中に組み込んでおくと良いだろう。

「みよし村の牛乳」で作った濃厚なソフトクリームを Photo: Naoki OHOSHI
足湯でリラックス Photo: Naoki OHOSHI
田んぼから聞こえるカエルの鳴き声が心地よい Photo: Naoki OHOSHI

 山を下ると、目の前に田園風景が広がる。まっすぐで長閑な道を走る傍ら、水が張られた田んぼからカエルの鳴き声が聞こえてきた。都心では肌寒い日が続いていたが、温暖な南房総は春が一足先にやってくるようだ。

 新緑の季節には、ここはどんなに鮮やかな風景になるのだろう。そんなことを考えながらペダルを漕ぎ進めた。

山から海へダイナミックに変化する景色

 内房線としばらく並行し、40kmを超えた時点で千倉を通過すると、太平洋岸の道に出た。山道を走ったあとで一気に開ける視界に、再びテンションがあがる。山から海へダイナミックに変わる風景を“いいとこどり”できるのが南房総の魅力であり、その変化を肌で感じられるのが自転車の醍醐味だ。

いよいよ海沿いサイクリングへ Photo: Naoki OHOSHI
山から海へ。ダイナミックな景色を堪能できるのが南房総サイクリングの醍醐味 Photo: Naoki OHOSHI
道の駅「ちくら 潮風王国」でお待ちかねのランチタイム。ここにも自転車ラック Photo: Naoki OHOSHI

 時計は午後1時を回ろうというところ。あらかじめランチタイムで狙いを定めていた道の駅「ちくら 潮風王国」に立ち寄る。これまで果物や野菜などがメインだった「道の駅」とは異なる海産物のラインナップに、改めて南房総の豊かさを感じる。

 ここでのお目当ては海鮮丼。窓ごしに太平洋を望む海鮮レストラン「旬膳 花房」の海鮮丼には、ランチ限定で地元で獲れたアジのフライがサービスで付いており、さらに追加料金を支払えば味噌汁をカニ汁に変更することもできる。アワビ、イセエビや地魚なども堪能できるほか、伊勢海老が丸ごと入った豪快な「王様丼」など、アイデアいっぱいのメニューも楽しい。

海鮮丼にアジフライがついたお膳。これぞ房総ランチ! Photo: Naoki OHOSHI
地元で獲れたサザエも Photo: Naoki OHOSHI

 しっかり食べて元気になったところで再スタート。残り30kmを走るには十分な満腹感だ。食事の消化は30分後から始まるので、体に負担をかけないようゆっくりと走り出そう。

昼食を済ませて再出発!Photo: Naoki OHOSHI

 海沿いには、南房総特有の温暖な気候を生かした「花摘み」の畑がところどころに見られる。行く先々でポピーや菜の花が揺れ、文字通りサイクリングに花を添えてくれた。

南房総エリアに点在する「花つみ園」の花畑 Photo: Naoki OHOSHI
サイクリングの行く手を楽しませてくれる Photo: Naoki OHOSHI
房総半島最南端の野嶋埼灯台 Photo: Naoki OHOSHI

 さらにペダルを漕ぎ進めると、遠方に灯台が見え始める。スタートから50km地点の白浜町、房総半島の最南端に立つ野島埼(のじまさき)灯台だ。高さは24メートル、白亜の八角形をした大型灯台で「日本の灯台50選」の1つにも選ばれている。別名「白鳥の灯台」とも呼ばれ、国の登録有形文化財にも登録されている。灯台周辺は国定公園となっており、雄大な太平洋のパノラマを望むことができる。

 灯台に向かう手前にある神社に立ち寄ると「厳島神社」という文字が。「こんなところになぜ?」と思ったら、広島の厳島神社から分霊した弁財天が祀られているのだそう。境内には弁財天以外の七福神の石像も祀られており、思いがけず縁起の良い散策に。残りの道中の無事を祈り、野島埼灯台をあとにした。

こんなところに厳島神社が… Photo: Naoki OHOSHI
残りの道中の無事を祈願 Photo: Naoki OHOSHI

時間次第で選べる最終ルート

 再び海沿いを10kmほど進み、相浜交差点に差し掛かったところで海岸線から離れ、館山駅方面へと向かう。10kmほど山間の道が続くが、それほど坂はないので快適に走ることができる。

内陸部に入り館山方面を目指す Photo: Naoki OHOSHI

 時間に余裕があれば、そのまま海沿いを進み、房総半島の最も西に位置する洲埼灯台を回って館山駅へと向かう方法もある。距離は20kmと2倍に増えるが、天気が良ければ夕陽を眺めながら走り、館山駅付近の「渚の駅 たてやま」で日没を堪能するプランも良いだろう。

 午後4時、ゴールの館山駅に到着。通算7時間、70kmを休憩も含めて時速約10kmで走った計算だ。道中の信号も少ないので、適度なペースで十分な距離を楽しめた。

 駅のロッカーに預けてあった輪行袋と荷物を取り出し、帰りの電車に乗る輪行の準備をする。時期によっては、土曜・休日限定で午後3~4時台に新宿、東京行きの「特急さざなみ」が発着する期間があるので、効率よく帰宅したい人は時刻表をチェックして帰宅プランを立てることをおすすめする。

館山駅に到着 Photo: Naoki OHOSHI
輪行して帰り支度 Photo: Naoki OHOSHI

 帰り支度を整え、時間に余裕があれば駅前の土産物屋に立ち寄りたい。サイクリング後の疲労回復に欠かせない糖質をおいしく摂ろう。おすすめは、房州びわを使った「まるごとびわゼリー」。つるんとしたのどごしとともに、びわの優しい甘さが心地よく沁みこむ。帰りの電車のおともに、またはお土産としても喜ばれる一品だ。

帰り道のおともに名物の「まるごとびわゼリー」を Photo: Naoki OHOSHI
程よい甘さが疲れた体に優しく沁み込む Photo: Naoki OHOSHI

 土曜日たっぷり遊んでも、まだ日曜日がある2.5日の週末。金曜日の夕方を週末プランに加えて、ちょっぴり贅沢なサイクリングをエンジョイしてみてはいかがだろう。

■ホテル「ファミリーオ館山」

所在地:千葉県館山市大賀81-17
TEL:0470-22-8861
駐車場:50台(無料)
http://www.familio-tateyama.com/

■道の駅「富楽里 とみやま」

所在地:千葉県南房総市二部1900
TEL:0470-57-2601
営業時間:9:00~18:00(軽食コーナーは7:00~、4~9月の土日祝日8:30~)不定休
http://furari.awa.or.jp/

■道の駅三芳村「鄙の里」

所在地:千葉県南房総市川田82-2
TEL:0470-36-4116
営業時間:9:00~17:00
http://hinanosato.jp/

■道の駅「ちくら 潮風王国」

所在地:千葉県南房総市千倉町千田1051
TEL:0470-43-1811
営業時間:8:30〜17:00 水曜定休(1〜4月・8月は無休)
http://shiokaze-oukoku.jp/

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