2025.3.10
せっかく手に入れたマウンテンバイク(MTB)、たくさん乗って遊んだあとはメンテナンスしてあげましょう。定期的なメンテナンスはトラブルの早期発見につながりますし、しっかり手を入れた車両は長く乗ることができます。また長くMTBを趣味にしていくと自分自身でできるメンテナンスの幅が広がっていくでしょう。今回はメンテナンスの種類、自分自身でできること、まずはショップに依頼して作業してもらうこと、などを解説します。
これは基本にして最も大切なメンテナンスです。MTBはダートを走る事が多いので日常的に砂塵や泥で汚れます。これを放置すると良くありません。MTBパークなど現地に洗車場が用意されている場合は、ライド後にすぐそこで洗いましょう。
多くの洗車場には水道ホースが用意されています。車両の上から軽く水をかけながら、ブラシで優しく洗います。MTB専用の洗剤もありますのでしっかり洗いたい方は活用しましょう。
水洗いでの注意点は水圧です。MTBは内部に水が入ると好ましくありません。サスペンションのダストシールなどに直接水をかけるのは控えましょう。レースのメカニックなどは高圧洗車機を使う場面がありますが、MTBの構造を熟知している人向けですので、通常はホースの水圧程度にしておきましょう。
泥のついたタイヤも水で洗います。車両全体の水洗いが終わったら、水をよく切って拭きあげておきましょう。水道やホースの流水を使えない環境の場合はバケツに水を汲んでゆるく絞ったウエスで拭き洗いを行いましょう。
洗車の次に行うのは注油です。チェーンにはチェーンオイルを、その他ディレイラーや操作レバー関係には製品の説明書に従ってオイルやグリスを注油します。注油の注意点はつけ過ぎない事。少量をこまめに注油するのが良いでしょう。洗車〜注油までのメンテナンスは自分自身でできるようになっておきましょう。
タイヤの空気圧は乗車前にチェックすべき項目です。空気圧を下げるとグリップが良くなりますが、路面抵抗が増えてペダリングが重たくなる傾向に。逆に上げると車輪はよく転がるようになりますが、グリップが弱くなります。長期間乗っていないとタイヤの空気が抜けている場合があります。乗る前に必ず確認する習慣をつけましょう。
タイヤがMTBのライディングに与える影響はとても大きなものです。タイヤによって得意不得意な路面があり、完全なドライな路面から濡れている路面まで、あらゆる状況を走るMTBでは、その日のコンディションに合わせてタイヤを交換することはよくある事です。出かけた先でのパンク修理にも対応できますし、タイヤ交換までは自分自身で出来るようになっておくと安心です。
ここからは、まずはショップに依頼した方が良いと思われるメンテナンスを紹介していきます。
変速機の調子が悪くなると快適にライドできないので、違和感を感じたら調整してもらいましょう。多くのMTBに採用されている油圧ディスクブレーキはエア抜き、オイル交換など定期的なメンテナンスが必要です。「レバーの握りが深くなった」「カチッとしていたのがフワフワしてきた」などの症状が現れたらメンテナンスのサインです。
変速機やブレーキのメンテナンスは調整方法がわかると自分自身でも調整できますが、かなりの経験が必要になるのでショップに依頼するのが確実です。
ライディングの際に岩や木にヒットしたり、転倒したりすると前後輪のホイールに”振れ”が出る事があります。振れたままにしておくと、ひどい場合はフレームに当たったり、最悪の場合スポークが折れてしまうことも…。愛車のホイールが振れていることに初めて気づいたときは、少しショックを受けるかもしれませんが、大丈夫です。MTBでライドしていると多かれ少なかれ振れが出るものです。それもショップに持ち込めば直してもらえます。
機械式変速機や機械式ディスクブレーキの場合、定期的にアウターワイヤー、インナーワイヤーの交換が必要になります。ワイヤーの取り回しには工具に加えて経験も必要になります。特にフレームの中にワイヤーが通っているタイプでは交換にかなりの技術が必要になる場合があります。
チェーンは使用に伴って伸びてきます。これも定期的に交換が必要です。
サスペンションは常に摺動するパーツなので時間と共に動きが悪くなってきます。新品時に比べて動きが渋いと感じたら、オーバーホール(機械製品を分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に戻す作業)を依頼しましょう。前後共に効果は絶大で、すぐに体感できるはずです。
リアのサスペンションリンク周りにはたくさんのベアリングが使用されており、この動きが悪くなるとスムーズにサスペンションが動きません。定期的にチェックしてもらい、ガタつきが出ているようなら交換することをお勧めします。
◇
このように、MTBのメンテナンスは代表的なものだけでも多岐にわたるので、いざという時に愛車の面倒を見てくれるショップがあると安心です。その他にも遊ぶ場所の提案、仲間が増える、移動手段の提供、定期的なメンテナンスなど、MTBに強いショップと良い関係を持っていると趣味の幅が飛躍的に広がることにも繋がります。
とはいえ、メンテナンスはまずは自分でできる洗車から始めてみましょう。洗車の時に車両の不具合に気づくことは多々あります。塗装面や操作系、駆動系などに違和感を感じ始めたら、購入元等のショップに相談するようにしましょう。
株式会社SLm代表取締役。主にMTBを撮影する写真家。国内に限らず、世界選手権大会、ワールドカップなど数々のMTBレースを撮影。日本全国を転戦するMTBレース「DOWNHILL SERIES」を主催。全日本マウンテンバイク選手権大会(ダウンヒル)の大会オーガナイザーを務める。
この人の記事一覧へ稲城から高尾まで 都内サイクリングの定番コース“尾根幹”と+αのルート
2018/10/30
2017/08/29
ヒルクライムで好成績を出すのに、どんなトレーニングをしたらいいですか?
2018/02/23
2025/03/03