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達人に聞く!自転車キャンプツーリングQ&A<4>

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キャンプツーリングのプランニングのポイントは?
達人に聞く!自転車キャンプツーリングQ&A<4>

 マイペースで「“移”・食・住」を組み立てられることが醍醐味の自転車キャンプツーリング。しかし自由だからこそ、自身のプランニング力が問われるのもまた然りです。すぐにでも旅に出たい気持ちを抑えつつ、まずは自身のスキルと力量を見極めることが重要。ツーリングの計画を立てる上でのポイントを本連載で押さえていきましょう。

仲間と集まっての自転車キャンプツーリングは最高に楽しいです。眼の前に広がるのは静岡県・浜名湖にある「タリカーナ村櫛ビーチキャンプ場」
Q キャンプツーリングのプランニングのポイントは?
この記事のポイント

まずはデイキャンプから始めてみよう

山下さん:自転車のキャンプツーリングの立て方は人それぞれだと思いますが、前回書いたとおり、私は輪行を組み合わせることで自転車キャンプならではの楽しさが倍増すると思っています。とはいえ、ビギナーにとっては輪行スキルに加えて、最初はキャンプ道具のセレクトやそれらの車載も大変なこと。それでスケジューリングの余裕が無くなるような遠方のキャンプツーリングは予想以上に疲れてしまうので、まずは無理せずに近場から始める方が良いでしょう。

まずは近所の河原やテント設営OKの公園などで読書、マイボトルに入れたコーヒーを飲む、スマホで映画を見るなど、設営先でリラックスするバイク&デイキャンプから始めましょう

 とくにキャンプ道具を買って間もないのであれば、まずはデイキャンプ(日帰りのキャンプ)で慣れておくと良いと思います。購入したテントをうまく立てられるかテストする狙いもありますので、1度だけでなく、2度くらいトライしましょう。

 例えば山岳用テントであれば「自立式」と「非自立式」があります。自立式はポールを立てた時点で自立するタイプで、非自立式はペグダウンをしていないと立てることができません。ただ、非自立式はポールが少ない分軽量。一方の自立式は少し重くなり、収納サイズも大きくなるなど、それぞれ一長一短があります。まだキャンプに慣れていないのであれば、どんな地面でも簡単に立てられる自立式がオススメです。

 ちなみにテントには、本体とは別に外側のフライシート(屋根)が付いている「ダブルウォール」と防水透湿性素材が1枚地になっている「シングルウォール」があります。また最近は少しでも荷物を軽量化するために、夏はタープやハンモックといった「オープンエアスタイル」を取り入れる人も増えています。それぞれに特性があるので、自分にはどのタイプが合っているかを知ることも重要です。

 そのためにもデイキャンプをし、実践感覚で経験を積むことで、本格的なキャンプツーリングに活かすことができます。テント・寝袋・マットの「三種の寝具」を積んで、宿泊することをイメージすれば、何が必要で、何が要らないかも確認できます。荷物の取捨選択ができるようになり、実際に旅に出た際にも“想定外”の失敗はせずに済むでしょう。

 また、始めから1人で自転車キャンプツーリングをするのではなく、仲間や経験値の高い先輩に付いていくということも学びになるでしょう。

1日の走行距離は30kmまでが目安

 基本的なことですが、まずはキャンプ場を目的地に設定しましょう。インターネットで検索できますし、本や雑誌で探すのも良いでしょう。野宿でもキャンプできるところはありますが、火器類が使えない場合もあるので、全てが許容されるキャンプ場が良いと思います。焚き火台を使うとき、地面を焦がさないための保護シートを使わなくてはならないところもあるので、事前に情報を調べておくと安心です。

 初心者であれば、キャンプ場までの距離は短ければ短いほど良いと思います。時間に追われたり、あれこれと予定を詰めすぎたりすると慌ただしくなり、楽しさが失われてしまいます。長くても1日30kmくらいに留めておきましょう。

荷物の軽量化と上りが少ない道を選ぶ

 キャンプの荷物が重いと、正直辛いです。自転車は自分の脚力がエンジンなので仕方ありません。軽量化によってある程度解消できますが、テント、寝袋、マットを積むと最低でも3kg近くになります。

 それ以外に身支度品(歯ブラシ、制汗剤、化粧水、石けんなど)、スマホのモバイルバッテリー、ヘッドランプやLEDライトなどのライト類、食事をキャンプ地で作る場合は、シングルバーナー、クッカー、カトラリー、ガス缶、それに食材がプラスされ、おそらく総重量で15~20kgほどになり、“そこそこ”な重さになります。

 パニアバッグでもバイクパッキングスタイルでもうまく積載できれば、平地を漕いでいる間はそれほど重さを感じませんが、距離が長ければ長いほど疲労は徐々に蓄積していきます。まして身体にバックパック、ウエストバッグなどを身に着けていたら数キロで疲れます。さらに、グラベルや林道のような未舗装路区間が長いと上半身のダメージも相当です。 

 なので空荷で走っているのとは比べ物にならないほど疲れが溜まることを理解しておくことが重要です。キャンプ場に着いた途端ぐったりしてしまい、せっかくの楽しいキャンプの時間が台無しになりかねません。

なるべく明るいうちにキャンプ場に着くようにしましょう。最近は、チェックインタイムが決まっているところも多いです

 また、アップダウンが多い道ではなく、遠回りしてでもヒルクライム区間が短くなるようなルートを取ったほうが良いでしょう。最短距離を狙って上り基調のルートを取ると、キャンプ道具を積載した自転車旅はただただ辛くなってしまいます。

 自転車キャンプツーリングを何回か経験して、ある程度、荷物の重さや走れる距離などを把握できてきたら、ルートを長く設定すれば良いのです。

回答者: 山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属のモデル。自転車、バイク、クルマ、登山で旅をして記事を書くトラベルライターとしても活動。主にサイクルマップ、自治体の冊子、WEB、雑誌などに寄稿。海外30カ国以上を自転車で旅した経験を活かし、自転車とキャンプをテーマにした旅フェス「BIKE&CAMP」の実行委員長となる。自転車キャンプツーリズム協会(BACA)理事。JACC(日本アドベンチャーサイクリストクラブ)評議員。

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