サイクリストは「食」でもカラダづくりを ちょっとした工夫で細胞から健康に

池田清子(いけだ さやこ)さん
アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネジャー経験を生かして2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを始め、同年秋に結婚。並行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。アスリートフードに関する様々な発信をする場所として、2016年6月に「ビオトープ株式会社」(http://biotope-inc.co.jp/)を設立。

1.「食」について研究しようと思ったきっかけはなんでしたか?アスリートフードについて、何を伝えることを大事にしていますか。

 夫である池田祐樹がマウンテンバイク選手という職業で、最初は「“MTB”ってなに?」というくらい、自転車のことを知りませんでしたが、結婚するに至り、世界中を転戦する夫のサポートは私がしなくてはと思い、務めていた会社をやめました。その頃、アスリートフードマイスターという資格があることを知り、もともと料理教室に8年ほど通っていて、料理が好きだったので、せっかくならカラダにいい食事という観点で料理を勉強するのも良いと思い、勉強をはじめました。
 夫はそれまで、消費したカロリー分は焼肉、ステーキ、ケーキなど何を食べてもいいと思っていたのです。私は元々、美と健康に興味があったので、マクロビオティックや酵素玄米など、美容の観点で追求していたことと、アスリートフードマイスターで学んだことを結びつけてみて、夫の食事を見直し始めました。
 私がモットーとしているのは、「細胞から健康に、美しく、強くなる」食事です。アスリートのイメージは「健康な体の持ち主」だったのですが、実際は日々の過酷な練習で免疫力が落ち、普通の人よりも風邪を引きやすかったり、補給食の大量摂取で筋肉疲労だけでなく内臓も酷使しているため、じつは健康を維持することが難しい職業でした。そのため、免疫力が高まる食事、少しでも早く疲労から回復する食事、さらに引退後も健康であるための食事とはなにかと考えました。今は、健康と強くなることは天秤にかけるのではなく、健康でありながら強くなれるということがわかり、そこを大事にしています。

2.ロードレースやMTBマラソンのような競技や、ロングライドなど長時間走る時は、運動中に食べることが欠かせません。パフォーマンスを上げたり、もっと心地よく楽しんだりするためには、どんな食のスタイルが必要ですか?

 食のもたらす楽しみは大きいと思うので、気に入ったものを食べるというのは一つ大事ですよね。手作り補給食がいつも同じものであっても、それは利便性であったり、好みなのかもしれませんのでそれもいいと思います。でも、例えばいつもパンに蜂蜜を塗ったものをポケットに入れて走りに行くのであれば、蜂蜜をバナナに変えてみるとか。たまにはパンではなくお米にしてみるのもいいと思います。
 また、日本はコンビニがたくさんあるので、携帯はせず、行った先々で調達する人も多いかもしれません。最近はコンビニでもバナナを1本から売っているので、そういうのは利用するといいですね。運動をしながら食べるのが苦手という人は、自分が食べられるようなものから徐々に始めるといいと思います。
 激しい運動をすると体内には活性酸素が発生しますが、そのままに放って置くと身体の老化につながります。運動して効率よくカラダを強くする為に、余計な代謝物を除去するのも、必要な栄養を補うのも食からアプローチしていきましょう。するとカラダが整っていき、適正になっていきます。強度の高い運動をすると免疫システムは低下し、食べないと風邪を引きやすくなってしまうので、しっかりと食べて、動いて、筋肉をつけて、睡眠も取って、アクティブに動けるカラダをつくりましょう。

3.これまで、ご主人の祐樹選手の食生活で、具体的にどのような取り組みをしてきましたか?

 いろいろな食事法を、例えばグルテンフリーならそれをきっちり3ヵ月徹底的に、基本的には私も一緒に取り組みます。カラダの変化が最も顕著だったのは菜食のときでした。夫は大人になってから運動誘発性喘息になり、花粉症も症状が重く、1年に5回は風邪を引き、さらに以前から高血圧との診断も受けていました。それが驚くほど良くなって治ってしまい、見た目にもスッキリして、さらにその時期レースにも勝てました。高血圧は遺伝でしょうがないと思っていたのに、半年間で正常値になりました。アメリカの知り合いの女性選手からヴィーガン(完全菜食主義)を勧められ、本人も強くなるために試してみたところ、思いがけず良かったので気に入っている食事法です。ヴィーガンはベジタリアンと似ていますが、基本的には肉、魚、卵、乳製品を取らない食事法です。今はわりと緩めにしていて、肉や魚を抜くというよりは、野菜や豆の割合を増やしていくようにしています。
 普段の食事に気を付けるだけで改善するというのは、植物の保つ力も人間のカラダもすごいなと思いました。アレルギーを誘引するものを食事から排除して、アレルギー物質の排出を助けるものを摂取するというスタイルなのですが、少しの期間やるだけでも効果が出ます。
 アスリートフードというと、プロを目指している人などが取り入れる特別なもののように感じる人もいるかもしれませんが、すごく身近にある、基本的には家庭料理の延長で、ちょっとした工夫です。目的によって足し引きをするもので、それが健康に向かっているのかということが、私が大事にしていることです。

4.ライフスタイルとして自転車を楽しむ人がさらに増え、自転車文化が発展するために、アスリートフードマイスターとしてできること、取り組んでいることとは?

 運動する人にとってはとくに「食」がカラダに与える影響は大きいので、食に多くの人が興味を持ってもらえるようにしたいですね。例えば、女性なら美容液に何千円、何万円とお金をかけたりしますが、カラダの中にダイレクトに入ってくるものは、美容液以上の効果があると思います。だから、労力を惜しまずに作られた味噌や醤油などは、多少高くても良いものをぜひ選びましょう。数百円の差、高くても倍くらいの値段です。でも、毎日取る調味料や油は大容量で安いものがお得なものが本当にカラダにとってお得なのか、健康のために良いものなのかを念頭に選んでほしいです。エンゲル係数は高くなるかもしれませんが、健康は何事にも代えがたいものです。

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